アキラナウェイ

ダーク・ブラッドのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ダーク・ブラッド(2012年製作の映画)
3.3
ストロングチューハイ(ロング)2本と小さな瓶の赤ワインと共に、リヴァー・フェニックスの幻の遺作を愉しむ。素敵な夜の過ごし方。

冒頭、ジョルジュ・シュルイツァー監督によるナレーションで幕を開ける。配給会社のロゴとか出ないもんで、いきなり語り掛けてくるからビビる。

監督曰く撮影中にリヴァーが急死してしまい、映画は未完のままだった。しかし監督自身も大病を患った事を機に本作を完成させると決めた。二本の脚しかない椅子の三本目を追加し、何とか立たせようとした。しかし四本目の脚は決して戻らない。

砂漠の真ん中で車が故障してしまい、立ち往生してしまった役者夫妻のハリー(ジョナサン・プライス)とバフィー(ジュディ・デイヴィス)。四方砂に囲まれた荒地で夜を迎え、微かな光を頼りに出会ったのは謎めいた青年ボーイ(リヴァー・フェニックス)だった。ボーイのトラックで街まで送ってもらえると期待する2人だったが…。

色々なトラブルが起こり、待てど暮らせど街に送ってくれる気配が一向に見えないボーイ。バフィーに色目を使う彼に苛立ちを隠せないハリー。次第にボーイの言動が狂気じみてくる。

これは…サスペンスかな?

何せ撮影されていないシーンについては、監督のナレーションで済まされてしまうので、ボーイへの恐怖感もいまいち盛り上がりに欠ける。

でもこればっかりはしょうがない!!
リヴァー・フェニックスはもういないのだから。

無いシーンは彼が生きていれば、どんな演技を見せただろうと想像力で補完。これはこれで楽しめる。

改めて惜しい人を失くしたと思う。
鋭い眼光とひん曲げた口元が好きだな。

生きていれば、ホアキンとの兄弟共演もあったかな?才能ある他の監督や役者と素晴らしい化学変化を起こして、色んな映画に出演しただろうな。

いくら願ってもリヴァー・フェニックスはもちろん、ブラッド・レンフロもヒース・レジャーもフィリップ・シーモア・ホフマンもみーんな還って来やしない。

正直、未完の映画なのでそこそこの出来だけど、ほろ酔い気分でふわふわ観るには丁度良い塩梅でした。