けーはち

スター・ウォーズ/フォースの覚醒のけーはちのレビュー・感想・評価

4.4
満を持してEP6から30年越しのSW新章の幕開け。フォースを覚醒させるのは女主人公レイ!

★EP6で帝国は滅んだのだが、新共和国は30年ほどで帝国の残党(ファースト・オーダー)に脅かされる。暗黒卿カイロ・レンの、ブラスターを空中で受け止めるフォースのパワーと、皆殺しを命じる冷酷さ、そこからストーム・トルーパーのひとりに生まれる叛心を垣間見せるオープニング・アクトが秀逸!

★ドロイドBB-8はレジスタンスに、姿を消したルーク・スカイウォーカーの居場所を示す地図を託される。以降、BB-8が砂漠の中を主人を探す旅路で、主人公と出会うまでの流れは、多分にEP4を意識したもの。他にも小ネタ満載で、旧三部作ファン向けリブートの側面が多々ある。

★BB-8はR2D2よりも球体をベースにしていて、立ち居振る舞いは可愛いが、しばらくすると機械っぽさを超え、若干あざとさが鼻につく。それよりも、ストーム・トルーパーの離反者フィンや不完全なシス暗黒卿カイロ・レンはこれまでのSWにいなかったタイプのキャラで、可愛げがあって面白い。

★ファースト・オーダーのトルーパーであるフィンは、幼少の頃拉致され、教育を受けた若者(帝国のトルーパーは遺伝子操作されたクローンだった)。戦闘訓練を受けていても、基本は並の人間である。しかし、行きがかり上一緒になった主人公レイを助けようと奮戦する善良な青年である。トルーパーとして識別番号しか名前のない彼に、新しく「フィン」の名をつけたのはレジスタンスのポー・ダメロン。彼もまた名前以外全然ダメなところのない凄腕のパイロットである。言うまでもなく、SWにおける父と子の関係性は非常に重要なものだが、フィンにとって、この名付け親(ゴッドファーザー)たるポーとの関係は、後の作品においても重要なものになっていくことは間違いない。

★今回のシスの暗黒卿カイロ・レンは、序盤こそ凄味を見せるが、かつてのダース・ベイダーやダース・モールに比べれば未熟で、セイバーの斬り合いではパンピーのフィンに手傷を負わされる(フォースの能力とセイバーの戦闘技術は、必ずしも比例しないのか?)。精神的にも不安定で、ブチ切れて「衛兵!衛兵!」って呼んでるのに、衛兵が空気を察してサーッと逃げていくシーンは非常に面白かった。ベイダーに心酔しており、光と闇の狭間で、実父や師(かつての、あるいは今の)との関係において揺れ動き、決断を下す。彼もまた物語を左右する影の主人公と言っていい。

★上記のように男たちは若干未熟で頼りなげ。一方、本作の女主人公レイについては、デブリからジャンク部品を採取し売る砂漠の民で、彼女の出生や待ち人について謎は多く、それに触れない頑固さがある。しかし、ハン・ソロも舌を巻く機械技術と、次世代のジェダイたり得るフォースの素質を持っている。ルークのライト・セイバーに触れることで、様々な過去と未来を垣間見る。そして彼女はまさに殺されようとするフィンを守るため、フォースを駆使、決戦では誰に教わるでもなくセイバーの殺陣を披露。傷つき意識を失ったフィンをレジスタンスに引き渡し、一人で旅立つのであった。この独立独歩の女の描き方は良い。本作でレイを導く師の役割を果たすハン・ソロの知己マズ・カナタも1000歳超えの老婆だし、ストーム・トルーパーの隊長キャプテン・ファズマも女性である(身長190cm超えだけど)。

★気になる面もある。EP4のデス・スター掃討戦は単体で完結していたのに、EP7単体では完結性が低く、ラストの邂逅からの空撮シーンは、もろに「次回へ続く!」なヒキだった。もちろん、次回作まで何年も待つに値する作品だし、そういうファンのスタンスを理解した上で委ねたものだが、「次回が何年後だよ」って声はあげたい気にもなる。

★細かい話だと、粉(ポーション?)を入れたら一瞬で膨らんでパンができるとか、マズ・カナタの酒場の雰囲気とか、小道具にもセンス・オブ・ワンダーがあふれていてSWらしいのが良い。これぞSWという、追手を振り払いながらレイとフィンの共同作業でミレニアム・ファルコンを駆る空中戦や、大詰めのXウィング、タイ・ファイターによる激しいドッグ・ファイトの満足感、そして年経た旧三部作組の再演も感無量。それだけに、予想されていたとはいえ、ショッキングな展開でもあるわけだが……。

★総じて単体での完結性は低いものの、30年前のSWの世界観を引き継ぎながら、男がヘタレで女はたくましい、実に2015年のSWにふさわしい、リブート・トリロジーの幕開けたる作品になっている。監督を引き受けたJJエイブラムスの勇気に敬意を表する。