まっつん

スター・ウォーズ/フォースの覚醒のまっつんのレビュー・感想・評価

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言わずと知れたスペースオペラの金字塔、STAR WARS(以下、SWと略記)シリーズの最新作。約10年ぶりに新作が公開されたということで、世界規模で熱狂的なムーブメントが巻き起こっているのは言うまでもない。かく言う僕も、そのムーブメントの熱にあてられてまいっている一人である。

この場では、そんなふうに熱にあてられてしまった僕の、あくまで極私的な感想を、記録の意味も込めてまとめておきたいと思う。

まずは好意的な意見から述べておきたい。
本作は、過去から未来へとむかうSWサーガの「橋渡し」となり、そしてサーガを「更新する」という意味では100点満点を叩き出したのではないだろうか。何と言っても特筆すべきは、SWの過去作(とくに旧三部作と呼ばれるep. 4, 5, 6)へのオマージュを多分に盛り込みながら、それを現代の映像表現を使ってアップグレードしてみせている点と、本作から登場する新たなキャラクター達をきわめて魅力的に描ききったという点だろう。

まず、オマージュについては挙げだしたらキリがないが、ストーリラインのベース自体、シリーズでも屈指の人気作として名高いep. 4および5を明らかに踏襲しており、否が応でも「懐かしい」感覚が呼び起こされる。それでいて、話自体のスケールも映像技術の発展に付随して格段にアップしており、まさに現代における「SW」のあり方を存分に体現してみせたと思う。CG表現にこだわり過ぎず、アナログ回帰的に「モノ」を画面に映そうとする姿勢にも好感が持てた。そのほか、さまざまな小ネタをちょくちょく仕込んでくるなど思わずニヤリとさせられる演出が多く、その度になんともいえない多幸感に満たされたものだった。うるさ方の多いSWファン(おそらく、僕もその一員に入るのだろう)もこの点には、存分に満足したのではないだろうか。

つづいて、新たなキャラクター達についてだが、これがまた全員キャラが立っていて素晴らしい。女性主人公のレイ(デイジー・リドリー)をはじめ、その相棒となるフィン(ジョン・ボイエガ)、本作屈指のナイスガイ:ポー・ダメロンらが画面を所狭しと動き回るさまは、新世代のSWが始まったんだという喜びを改めて感じさせてくれた。個人的にはR2-D2とキャラが被っていると感じていた新ドロイドのBB-8だが、駆動域がR2-D2よりも格段に広いことも相まって、実に豊かな表現を見せてくれて本当に可愛らしい。見事にドロイド達の仲間としてピタッとハマってみせたのではないだろうか。むろん、旧作のキャストが勢揃いして出演していたのが無類の喜びであったのは言うまでもない。ついに3ショットを拝むことはできなかったが、ルーク、レイア、ハン・ソロと再び出会えたのは今年最大のサプライズだった。

ただ、SWという枠を取り払い1本の映画として見た場合、僕はどうしても本作を手放しで称賛することはできない。むろん、本作がSWという看板を掲げている以上、それを取り払って見る必然性はないともいえるのだが、あえて一歩引いた目で見るためにそうした計らいをもって俯瞰すると、ところどころで「ノイズ」になるようなものを目の端で捉えてしまうのだ。たとえば、劇中でポー・ダメロンは1時間ほど完全に姿を消してしまうが、その間彼は何をしていたのか、ひいてはどうやってあの状況から助かったのかを説明することなく話が進んでしまったのには、首を傾げざるをえなかった。「SWのよいところは、その楽観性にある」とJ.J.エイブラムスは公言しているが、楽観性を御都合主義とごっちゃに考えられては困るというものだ。そのほかにも、指摘したい点は、話運びや画面の繋がりなどを含めて山ほどあるが、字数の関係とネタバレを避けるためにこれ以上は明言しない。

長々と文章を書き連ねてきた挙句のまとめになるが、本作は「良くも悪くもJ.J.エイブラムスのテイストの映画」であったと思う。映像表現に関しては文句なしに素晴らしく、見せ場の作り方も上手くて面白い。ただ、語られるべきストーリーに粗や雑さが目立ち、僕にはそれがどうしても「ノイズ」に感じられるのだ。もっとも、本作は彼のフィルモグラフィのなかで最高傑作に位置づけられるものになるとも思うのだが。

とはいえ、現状、僕はまだ本作を1回しか観られていないためさまざまな整理がついていないというのが正直な心根で、自分のなかでも正当な評価が下せていない感覚は拭えない。また、本作の本当の意味での「評価」が定まるのは、次作『ep. 8』が公開されて以降になるのではないかとも思う。旧世代から新世代への橋渡しの役を担った本作だが、橋がうまく掛かっていたのかは、継ぎ目を見てみないことにはわからない。片方の継ぎ目はよく接合されていたとしても、もう片方の処理が甘ければ、橋はいとも簡単に崩れ落ちてしまう。本作で明かされなかった謎をどう処理するかなども含めて、『ep. 8』が担う荷は大きなものとなると言えるだろう。

だが、今のところJ.J.に抱いているのは感謝の気持ちのほうが大きい。先述のようにうるさ方の多い本シリーズの新作を監督するとなれば、相応のプレッシャーがあったことは想像には難くないが、それをはねのけて多くの人びとが満足し得る作品をクリエイトしてくれたと思う。ありがとう、そしてお疲れさま、J.J.。何度も見返すよ、絶対。

【2015年12月26日追記】昨日、2度目の鑑賞。話の筋がわかっていたためか、前回よりも楽しんで鑑賞できた。『スター・トレック』からすれば、やはりJ.J.は格段に腕を上げていると思う。本作の編集の切れ味に助けられている気がしないでもないけど...