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スター・ウォーズ/フォースの覚醒のp99のネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

息つく間もなく展開していく物語にどんどん引き込まれていく。

…なんだか気持ちよくなってきた。

「目を閉じてフォースを感じてごらん」マズ・カナタがレイに語りかける。

…僕も目を閉じてレイと共に自分のフォースを感じてみようとした。

………意識が飛んだ。

僕の1回目の『フォースの覚醒』はあえなく失敗してしまった。覚醒することができないばかりか、ダークサイド(眠気)にあっさり飲み込まれてしまったのだ。

言い訳をすると、本当は昼飯前にIMAX版を観る予定だったのだが、機械トラブルでその回の公演が中止になってしまったのだ。それを受けて別の映画館の2D字幕版の予約をしたはいいが、昼飯直後の時間帯で、どうしても眠気を抑えることができなかった(コーヒーを飲んでいれば…)。こればかりは本当に後悔してもしきれないくらい後悔した。自分に「反省」の2文字を打ち込み、後日改めて『フォースの覚醒』をする決意をした。

・・・

そして12月30日、この年の瀬にリベンジして、無事に完全なる「覚醒」ができました。

・・・以下ネタバレ入ります。

壮大なスケールで描かれる『スター・ウォーズ』シリーズ。共和国や帝国、レジスタンス、ファーストオーダーなど、様々な組織が銀河を駆けて、物語を形づくっている。しかし、そんなとてつもなく大きな「マクロ」の世界で描かれるのは、個人や家族や仲間というとてつもなく「ミクロ」の事象である。このことは逆説的に彼らの尊さをいっそう引き立たせているのかもしれない。しかし、物語のカギを握り、新たな道を切り開いていくのはいつも「ミクロ」の事象である彼ら一人一人であり、その繋がりなのである。

本作で最も印象的な悪役カイロ・レン、彼はハン・ソロとレイア姫の子供である。そして彼は自分の祖父であるダース・ベイダーを信望し、純粋な強さを求める上で暗黒面に自ら堕ちるという選択をした。「ミクロ」の世界である家族の生き方がその子孫に伝わり、それが銀河の命運を左右することになるのである。ものすごいダイナミズムだと思う。

ハン・ソロがカイロ・レンを呼び止めるときに、「ベン!!」と呼んだ。ベンとはレイア姫が助けを求めた伝説のジェダイ:オビ=ワン・ケノービがエピソード4で名乗っていた名前であり、彼らが自分の子供に平和の祈りを込めたことは想像に難くない。そう考えると、カイロ・レンが暗黒面に落ちたことはなんという悲劇であろうか。

そんな彼に立ち向かうのはBB-8を保護し、偶然立ち会うこととなった女性:レイである。しかし、彼女はルーク・スカイウォーカーと何らかの関係があることが示唆され、彼女の中に潜在していたフォースを「覚醒」させてカイロ・レンに立ち向かう。彼女ももしかしたら血の絆という「ミクロ」な繋がりを持つ人物であるかもしれない。彼女が居合わせたのは果たして本当に偶然であっただろうか?それはエピソード1(あるいは4)から続く運命の連なりの一部であるとも捉えられるのだ。

カイロ・レンに斬られたハン・ソロの生死は分からない。しかし、彼の意思もまたレイに託された。ルーク・スカイウォーカーとレイが出会い、今後彼らはどのように運命を切り開いていくのだろう…?それは銀河全体の秩序を取り戻す平和への道に違いない。

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監督がジョージ・ルーカスからJJエイブラムスに代わっても基本的なことは変わらない。彼はルーカスの意思を見事に受け継いだ。特に旧3部作に捧げられたオマージュは正統的な続編としての雰囲気を存分に醸し出していた。

さらに「ポンコツ」になったミレニアム・ファルコン号、砂漠の惑星、ファルコン号の内部の床下やバーチャル・テーブルゲーム、異星人の集う酒場、Xウィングとタイファイターの空中戦、巨大な惑星型兵器、そしてライトセーバー戦。それらは最新の技術で鮮やかにスピード感をもって描かれるが、一つ一つがとても懐かしい。『スター・ウォーズ』という伝統への大きな愛が伝わってきて、僕はとても嬉しくなった。

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3部作の1作目としてのボリュームを圧倒的に超えた本作『フォースの覚醒』で新たな役者は揃った。『エピソード8』が待ちきれずに頭の中でテーマソングが流れ続けている。

今年のレビューを『スター・ウォーズ』で終わらせられてよかった。皆さまどうぞよいお年をお迎えください。
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