もっちゃん

スター・ウォーズ/フォースの覚醒のもっちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

字幕2D、字幕吹き替え3D、IMAX3Dという風に合計三回いろんな鑑賞方法で試した結果、今回のレビューに至るわけです。

公開前から、ただならぬ賑わいを見せていた。ep7のトレーラーが新しく更新されるたびにファンは狂喜乱舞し、様々な憶測を議論し合った。「スターウォーズ」という物語自体が一つの神話として成り立っているのだから、神話の続きがどのようになるかはもう並大抵の映画の続編程度では済まされないのである。

そして今作はそういった声に応え得る作品なのか。結論から先に言うと、成功していると思う。期待水準に軽々と達してきたというのが正直な感想。だが、期待水準を大幅に超えるという所までは行かなかった。ファンが求めているものの大きさというのもスターウォーズの呪いの一つである。

今作はいうなれば、(個人的な意見として)シリーズ最高傑作の呼び声高いep4の焼き直しである。基本的なプロットは完全に4の流れをトレースしている。レジスタンスの命運を託されたドロイド、デススター(スターキラー)への侵入爆破、ヒーロー(ヒロイン)のフォースの目覚め、などなど。
一つの作品として物語のまとまりの良さで言えば、4に匹敵するものはなかったが、今作も一つの作品として十分見ごたえのあるものに仕上がっている(次なる作品への伏線は多く配置されてはいるが)。

そして、旧三部作(4,5,6)ファンへのご褒美とでも言うべきオマージュの数々にも喜ばされた。トレーラーで先に出てはいたものの、ハン・ソロとチューイの登場シーンでは涙し、レイアの老けぶりには驚き、C-3POとR2-D2には爆笑させられた。そのほかにもここには書き表せないほどのオマージュが存在し、それだけでも製作スタッフの旧三部作の愛を感じるとともに、ファンへの気の遣い具合を感じ取れる。

だが、そういったep7をノスタルジックの産物だけにとどまらせない工夫もある。最大の転換はストームトルーパーの反逆者(フィン)を描いた点にある。今まで無機質な軍隊として扱われてきたいわば「敵」に人格を投入したのである。そうすることで、ファースト・オーダー=悪、レジスタンス=正義という単純な対立軸は薄まってきた。
さらに、そういった無機質な悪の記号的存在として君臨してきたダース・ベーダ―に代わって、今作には光と影の間で揺らぐカイロ・レンという青臭い「少年」が対置されているのも興味深い。彼らが何を表すのか(様々な葛藤に苦しむJJ自身とも取れるし、ファンの投影とも取れる)は今後の展開を見なければ分からないが、新しい試みとして非常に成功していると思う。

そして今作から愛すべきキャラクターがまた増えた。BB-8である。過剰なまでの擬人化ギミックはR2-D2の不在を補って余りあるほどの存在感である。R2-D2と比べ可動域が格段に増え、人間っぽい様々な仕草が追加された(落ち込み、壁チラ、ビックリなどなど)だけでなく、ライターシュポっのような効果も搭載されている。
さらにR2-D2やC-3POが技術的な問題もあり、動きが緩慢であったのに比べ、移動スピードが速いのもプラスの点である。主人公たちの「足かせ」となる場面(もしくは主人公たちとは別行動)になっていたドロイドが、普通に戦闘シーンで違和感なくついてきていること自体が画期的である。そしてそれによって「下からのアングルによる臨場感あるショット」が実現しているのも特筆すべきである。

さらに今作の主人公レイの存在も述べておかなければならない。いかにもディズニーヒロイン然とした風貌で表情豊かな彼女は素晴らしい魅力を放っている。愛らしさ、力強さ、潔白さが同居しており、彼女無くして今作は成り立っていないといっても過言ではない。彼女を見つけてきてくれたスタッフに感謝。

まだまだ語ろうと思えば、いくらでも語れるのがスターウォーズの魅力であるが、語りだしたらきりがないので自重しておこう(例えば、スノークの正体やファズマ問題、親殺し・家族の物語、ポー・ダメロンの魅力などなど)。大体、スターウォーズ自体が一作見ただけでは、評価しがたい。そのため、このレビューは一つのメモとしてとどめて置き、また次回作を首を長くして待つ以外ないのである。
どちらにしろ、今作でファンへの感謝と約束を果たした。その証拠がハン・ソロの死である(彼が本当に死んだのかどうかも分からないが)。ep7までが旧三部作とも言えるかもしれない。次回作で果たしてどういう展開になるのか。ep8から本当の真価が問われるだろう。