「目覚めよ——」
ルーク・スカイウォーカーが消えた。彼が不在の間に帝国軍の残党からファースト・オーダーが生まれた。彼らは最後のジェダイであるルークの抹殺を狙っていた。
レイア・オーガナ将軍は共和国の援助のもとレジスタンスを率いていた。レイアの目的は兄ルークを見つけ銀河に平和と正義を取り戻すこと。
レイアは最も勇敢なパイロットに秘密任務を与え惑星ジャクーへと送った。そこでは古い盟友がルークの居所の手がかりを得ていたのであった…
残念ながら賛否両論(プリクエルに比べれば多少ポジティブだが)あるが、自分はスターウォーズの中で1、2を争うくらい好きな作品。というのも、2001年生まれの自分は、エピソード3公開時でさえ4歳と、初めてのスクリーンでのスターウォーズにならざるを得ないのがこのエピソード7なわけで(ファントム・メナス3Dは…)。当然一番思い入れのある作品になる。確か当時公開日の金曜ロードショーで新たなる希望を観て、あそこまで古い作品だったことを初めて知った記憶がある。
かと言って思い出補正で評価してるわけではなく、作品としてしっかり、というかかなり面白いと思っている。123456と製作されてきて、既に一応キレイな形で完結したものをわざわざ掘り起こし新たな歴史を追加する、しかも世界的に人気な超超超大型ブランドのスターウォーズ、とあまりにも危険な賭け。製作陣には相当なプレッシャーが掛かっただろうが、オリジナル三部作の要素をふんだんに取り入れ、冒険活劇という形を踏襲した保守的な姿勢は、シークエル三部作の序章として最高と言ってもいい作品となった。
ジャクーに沈むスターデストロイヤーやAT-AT、反乱軍のヘルメット、「ポンコツにしよう」のあとに姿を見せるミレニアム・ファルコン、『チューイ 我が家だ』、エピソード5で失ったはずのルークの青いライトセーバー、アクバー提督などオリジナル三部作のキャラの再登場、を例に他にもあるであろうシリーズのファンを唸らせるシーンの数々、いわばファンサービスの連続。押しつけじゃなくちゃんと受け取って嬉しいものばかり。リアルタイム世代はさぞかし嬉しかっただろう。羨ましい。
そして新キャラクターたちの位置づけもはっきりとしている。砂漠で暮らす孤独なレイ、元ストーム・トルーパーのフィン、天才的な操縦技術を持つレジスタンスのポー、ファースト・オーダーを率い、ベイダーの影を追うも未熟さが見え隠れするカイロ・レン。これはライムスター宇多丸さんもおっしゃっていたが、ルーク、ソロ、レイアの3人とは異なる関係性で新鮮さがあり、かつ彼らの特徴が台詞やそれぞれの最低限描かれる出自でこの一作のみで容易に理解できる。
これら2つの特徴を軸に、"スターウォーズとしては"新しい要素を取り入れているところも素晴らしい。例えば、今までにはなかった丸が2つくっついただけの転がるドロイドのBB-8、意外と少なかった空中でのドッグファイト(ここの一連のXウイングがベスト!)、大量殺戮兵器(今作はデス・スターではなくスター・キラー基地)によって破壊される側を描いていること、カイロ・レンの十字型ライトセーバー、一新されたストーム・トルーパーのデザイン、などなど新時代の幕開けを宣言する演出の数々も観ていて楽しい。
それに加え、のちの続編で回収されることを目的に残されたであろう謎も多々あるのが今作の内容を語る上で外せない。特にレイがタコダナで初めてライトセーバーに出会うシーンで目にする幻覚に意味深なカットや過去作での聞き覚えのある声がたくさん詰め込まれている。それらの内容自体はなんら問題なく、むしろこれから展開される物語全体の内容を深める要素として大きな役目を持っていたことは間違いない。実際にその謎の答えに妄想を膨らましワクワクしたファンは多いはずだ。しかし結果として続編を観れば分かる通り三部作としての統一性や見通しがあまりにも立っていなさすぎるため、せっかく今作で落とした伏線が正しい形で回収されず、ほとんどが後付け設定のように感じられてしまうことや、そもそもそれについて触れられることが無いという結果に終わってしまったことは非常に残念であり、もったいなさすぎる。これ以上ない出来のスタートを切ることができた今作だが、続編の出来によって、最終的に多くの人にとって嫌いな、失敗作な三部作のうちの一つの映画、という扱いになってしまったことら本当に悔しくてならない。
ただそれでも自分の中でのフォースの覚醒の評価が揺らぐかと言われれば全くそんなことはないし、レイも、フィンも、ポーも、BB-8も、そしてカイロ・レンも好き。スターウォーズを好きになるきっかけを与えてくれたJ・J・エイブラムスには感謝しているし、その後のことを考えるとお疲れとも言いたいし、とにかくフォースの覚醒最高ーー!!!!インフレしてる気がするけど5.0点!!!