フライ

ダラス・バイヤーズクラブのフライのレビュー・感想・評価

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)
4.5
初めて見た時、余りにも芯を食っている内容の上、実話ベースと言う事もあり強い衝撃を受けたが…ありとあらゆる所に面白さと奥深さを感じるクズな男の社会派ヒューマンドラマは、下衆な中に凄まじいパワーを感じさせてくれる作品。

キャスティングが秀逸だが、なんと言ってもジャレッド・レトの迫真の演技と、主演マシュー・マコノヒーの命を削っているとも思える圧巻の演技に尽きると思えた作品。

SEX、薬物、賭けを繰り返し差別や偏見の塊で、ねじ曲がった高いプライドの持ち主は、正に人間のクズと呼ぶにふさわしいマシュー・マコノヒーが演じるカウボーイで電気技師のロン。そんな彼が突然倒れ医師にエイズを発症している事を告げられ余命30日と診断される。友人や仲間たちから差別や偏見に合いながらも、ロンの強い生への執着心と、凄まじい探究心、高いプライドも手伝い、自らエイズを克服する為、違法合法関係無く行動するのだが…。

この映画は、エイズ患者の葛藤を描いた単純なお涙頂戴のストーリーだけでは無い点が、本当に素晴らしい。
差別や偏見、社会に潜む色々な問題点を浮き彫りにし、本来なら埋もれているこの事実を映画化し、死を目の前に苦しみながらも力強い彼らを通して、まざまざと見せてくれるので、余計心に響いたし、教えて貰えた。
本作からは山ほど色々と感じる部分が有るが、記載すると嫌になるので書かないが、一番強く感じたのは、真実は、他人から押し付けられる物ではなく、如何にして自分自身で調べ、見極め、判断する力を養う事が大切で有るかを教えられた気がした。

この手の社会問題を題材にした映画や、ドキュメンタリーは、自分自身何も出来ない事に強い苛立ちを覚えるが、色々と学ばせて貰える上、パワーも貰えるのでとても好きな作品。
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