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野のなななのかのyoko45のレビュー・感想・評価

野のなななのか(2014年製作の映画)
4.6
 舞台は北海道芦別市、3月11日、鈴木光男(品川徹)が92歳でこの世を去り、葬儀のため親族が芦別に集まってくると、信子(常盤貴子)という女性が訪ねてきます。やがて彼女を通して、ソ連が南樺太へ侵攻した終戦直前直後に鈴木光男が体験した出来事とその青春が明らかになり、親族は49日(なななのか)を迎えることに・・。

「人の死は誰かにつながっている」が描かれている作品です。大林監督の映画は作品という言葉がよく似合うと思いました。字幕は少なめ、中原中也の詩は繰り返し出てきます。冒頭に亡くなる鈴木光男の台詞が多くて驚き。また前半は親族の会話も多く、その内容もピースやビキニの言葉の由来、原発、観光地化など盛りだくさん。
 一見秩序なく色々な物がごちゃ混ぜになっている感がありますが、後半、鈴木光男の戦争体験と青春の話となり、彼がかつて想いを寄せた綾乃(安達祐実)が登場すると作品の雰囲気がガラッと変わり、終わってみれば凄い大作を鑑賞した気持ちになりました。

 野の楽隊(PASCALS:パスカルズ)の曲が作品全体に流れ、かつ本人(14人のバンド)が芦別の大地を練り歩きます。この曲と大地を練り歩く行列の光景がとても印象深いです。パスカルズの「野のなななのか」を聴いて懐かしさを感じる方は、この作品が好きになるかもしれません。

(メモ)
鈴木評司さん(故人)
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