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野のなななのかのいのレビュー・感想・評価

野のなななのか(2014年製作の映画)
4.5
大林宣彦監督作品でかなりクセの強い部分があるが、複雑に貼られた文学的引用や伏線を回収していくのは面白かった。
中原中也の詩を交えつつストーリーが進むのだが、個人的に『凄まじき黄昏』からの引用「ニコチンに、汚れたる歯を押匿す」の部分は印象的。『凄まじき黄昏』は中原中也が黄昏に豊薩戦争を感じ、その戦う一人一人の兵士にニコチンという日常性を見出したものであったが、今回は「タールの光も清くなる」夏の空に鈴木光男が太平洋戦争を見出し、そこで殺めた日常性を思い出していた。単なる戦争批判にとどまらない名作だと思われる。
若干語りすぎ感はあった、、、
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