ベンジャミンサムナー

フラメンコ・フラメンコのベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

フラメンコ・フラメンコ(2010年製作の映画)
3.5
 フラメンコというと、赤いドレスを着た女性が舞うイメージしかないフラメンコ門外漢だった。

 だが本作ではピアノ、もしくはギターの演奏に手拍子だけ。卓を囲んで机を叩いてビートを刻みながら唄う。さらには唄も楽器の伴奏もなく、ダンサーが一人で黙々と踊る。
 …と、フラメンコにも様々な形式があることを知れる。

 照明による陰影のコントラストが良い。
特に、6人のダンサーが踊るエル・ティエンポの演目の、黄色い照明と青い陰のコントラストが美しい。

 あと度肝を抜かれたのが、子守唄の演目で、ステージに雨を降らせていること。
 水しぶきを散らしながら踊らせることでフラメンコの躍動感を最大限に引き出そうとする監督の執念に感服。

 フラメンコに本来抱いていたイメージ以上に多様な姿があることを知ると同時に、フラメンコ、ひいてはスペインという国に抱いていた"情熱"のイメージは裏切られることなく体感できる。