TAK44マグナム

マンボーグのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

マンボーグ(2011年製作の映画)
4.0
カッコイイとはこういうこと・・・・・かもしれない?


カナダから全世界へ80年代テイストなボンクラ映像を発信しているアストロン6製おバカSFアクション。
モノホンのプロフェッショナルたちが集まって、道楽で週末にワイワイやりながら作っているような代物なので、プロが素人のフリをして好きなことしている感が微笑ましい!

映像は凝っているんですけどペラペラでショボいし、分かった上でくだらなく撮っているのでマトモに受け止めてはいけないと言うか、「カンフューリー」や「ターボキッド」がダメだった方には正直向かないと思います。
本当にゴミのような数多のインディーズ映画と違い、腕も感性も
ちゃんとしている作り手が手掛けているのでバカバカしくもキチンと面白い。
「80年代のボンクラ映画はこんなんだったよなあ〜」と笑い飛ばせることが大前提かも。
そういう意味では爺ぃ向け(汗)

「マンボーグ」本編は1時間ぐらいの尺なので、トロマの尽力(?)により日本で劇場公開された時は、フェイク予告編や短編をくっつけての上映となりました。
ソフト化の際も「日本公開特別版」として同じ仕様で収録されております。

まず最初に始まるのは、何だか知らんけど人間を火あぶりにする復讐の殺人鬼が登場する「ファイヤーマン」の予告編。
円谷プロのヒーローではありませんよ、変なマスクをかぶった人間放火魔です。

そんでもって次なる出し物は、SF短編「レーザーゴースト2」!
一作目があるんだかないんだかですが、これは面白い。
レーザー光線砲で武装したアインシュタインの幽霊が世界を征服しようと蘇ったので、三人の男たちがそれを阻止しようと立ち上がるお話(だと思います。なにせ短編と言っても予告編みたいに途切れ途切れなので・・・)。
メガネにショートヘアの女性学者(セクシー担当)を守りながらゴーストバスターズの様に戦います。
80年代と言えばレーザーですよね!レーガン大統領だって核ミサイルをレーザー衛星で破壊しようとしてましたからね!
アダム・ブルックスが言い放つ「シーユー、レーザー!」は、「カンフューリー」の「タンク、ユー!」と双璧を成す最強無比な漢の決めゼリフ!

そして、クレイアニメによる短編アクションホラー「ファンタジービヨンド」。
少女が絵を眺めていると異形の怪物が絵から出現!
そこへギターを抱えた未来戦士みたいな2人の男が助けに来ます!
ギターを掻き鳴らすと衝撃波が発生し怪物を撃退してゆきますが、最後はちょいと切なく終わります。哀しい!

そこまで観て、いよいよ本編の始まりです。
地獄軍団と人類の最終戦争の結果、人類は敗北し地上はドラキュロン伯爵率いる魔人たちのものとなりました。
兄を殺された男は果敢にも伯爵に立ち向かいますが、奮戦虚しく嬲り殺しにされてしまいます。
しかし、その身体を何者かによってサイボーグに改造され、究極の戦闘マシン「マンボーグ」として蘇ったのです!

「ロボコップ」+「ターミネーター」=「エリミネーターズ」と言ったらわかりやすいでしょうか!
いや、そのまんまですが!
しかも、ちょっとだけ「ゼイリブ」とかにもオマージュ捧げたりしていて、本当にああいう時代のSFやホラーが好きなんですなぁ〜。

復讐の戦士となったマンボーグは、カンフーの達人であるNo.1、射撃の達人ジャスティス、ジャスティスの妹でナイフの達人ミーナという仲間を得て、非道なバトルロイヤルを勝ち抜き、ついに伯爵との決戦に挑みます!
なんも難しいところのない直球勝負のストーリーに、魅力的すぎるキャラクターたち。
味方だけでなく、敵の男爵がミーナに恋するのが童貞くさくて最高に笑えたり、誰も彼もがキャラが立っているんですよね。
モブシーンにでてくる魔人たちとかも、一瞬しか映らないようなヤツまで凝ったデザインだったり、楽しいセリフを喋ったり。

心底くだらないけれど、製作費が8万円ですからね(苦笑)
センスは無限大でも予算はかけてないので絵面はショボボ〜ン!
紙芝居をバックに俳優が演技しているような感じと言ったら伝わるでしょうか。いわゆるひとつの実写取り込みってヤツです。
一昔どころか二昔前のゲームみたいな見た目に最初は戸惑うでしょうけれど、まぁ、そのうち気にならなくなりますよ!
例え、ホバーバイクが薄っぺらの絵でしかなくっても!
肝心なのはそれがちゃんと動いて、ホバーバイクだと観ている側が分かるかどうかなのです。

因みに、一番気に入ったキャラはジャスティスでした。
名前からしてイカしてますし、ガン=カタみたいな銃の撃ち方もイチイチ格好いい!
なんで捕まっていたのか分からないぐらい無敵だし、軽口のチャラ男かと思いきや友情を大切にする熱い男だったりするので思わず惚れましたよ!
顔は好みじゃなかったけれども・・・・・(汗)

こうして「マンボーグ」の格好いいエンドロールが流れると、ついに真打ちの登場です!
本編は間違いなく「マンボーグ」ですが、一番楽しいのが何故か最後にオマケで収録されている「バイオコップ」のフェイク予告編だっていうところからして何かがオカシイ!

「ロボコップ」「マニアックコップ」そして「ゾンビコップ」・・・・・と、世の中には色々なコップが現れては消えていきました。
そんなコップ界の超新星が「バイオコップ」!
薬品の事故によって全身がドロドログログロになってしまった男!
グチャグチャだけれども、彼の肉体は不死になった!
その不死身さに目をつけた警察は彼を強引に警察官に任命し、悪党だらけのブッキラー軍団殲滅のためにコキ使うのDEATH!

そんな過酷な運命を背負ったバイオコップが、拳銃くわえて自殺しようとしたり、目ん玉が飛び出ちゃって困ったり、挙句には相棒の刑事を食べちゃったり・・・・・と、涙なしでは見られないシーンの連続に仰天しっぱなし!
「もう死にたいよ〜〜!」などと叫びながらオイオイ泣きわめき、そんでもって緑色のゲロを吐き散らすバイオコップ!
みんなが観たかったホラーコメディがそこにありました!
何度も何度もしつこく「バイオコ〜ップ!」とタイトルを連呼するなんぞ、あの時代のレンタルビデオにたくさん入っていた予告編ぽさが完璧で、色んなB級映画の珍場面が走馬灯のごとく脳裏に蘇りましたよ!

以上、オモチャ箱をひっくり返したように破天荒極まりない映像の数々を堪能しすぎてゲップが出そうな今日この頃ですが、トロマは「バイオコップ」にこそ資金を出して長編映画化を目指してほしいです!
宝くじが当たったら10万円ぐらい提供してもいいんだけどな。
セコいと思われるかもしれませんが、なにせ8万円でも「マンボーグ」が製作できるのだから、10万円もあれば超大作の「バイオコップ」が撮れるはず!
いつかきっと、お願いします〜!


セル・ブルーレイにて