亘

17歳の亘のレビュー・感想・評価

17歳(2013年製作の映画)
3.7
【"若くて美しい"彼女の不安定な1年】
高校生イザベルは、バカンス先の南仏で初体験をする。パリに帰ってから彼女は身元を偽り援助交際を開始。17歳の不安定な1年が始まる。

原題"JEUNE & JOLIE(若くて美しい)"の通り美しい少女イザベルが、17歳という年齢の不安定さに悩み売春に走る。特にイザベルは落ち着きがあって化粧をするとセクシーで美しいし周囲の友人たちと比べても大人びている。でも化粧を落とすとそばかすのある顔にあどけなさが残り子供だと感じてしまう。

イザベルはいつもアンニュイな雰囲気で物憂げな目をしている。きっと常に「何か違う」というもどかしさをどこかに感じているからだろう。今作では彼女が17歳になる直前からの約1年間を見ていて、季節毎に状況が変わっている。


バカンスではドイツ人のフェリックスと付き合い寝るけど、その後連絡とらずじまい。きっと「この人は違う」と思ったんだろう。そして彼女は17歳の誕生日を迎える。


イザベルは売春を始める。大人びた彼女が、大人の女性として見られるための手段が売春だったんじゃないかと思う。「20歳、ソルボンヌ大学文学部2年」と偽り、「年より若く見える」と言えば男たちは彼女を 大人として見る。彼女はセックスだけではなく、大人として見られることにも快感を持っていたんじゃないかと思う。


事件で売春がバレると母親はイザベルを執拗に追及。「死にたいほど悲しい」と話す。家庭は裕福だし、そこまでして稼ぐ必要はないはず。母には全く娘の行動が理解できないのだ。ただ一方で母も別の男性と不倫しているし、父は継父だからか母ほど慌てない。イザベルからすれば、大人の都合のよさも不満だろう。


ついにイザベルに同年代の恋人ができる。アレックスとの関係は真剣そうだし、やっとイザベルはちゃんとした恋を見つけたかに見える。でも彼とのセックスの後2人は別れてしまう。きっと経験の違いが露になって、彼を"子供"と見てしまったんだろう。

彼女は逆戻りしたようだったけど、老女との対面は意外だった。老女は高校生と寝た夫を愛してると話し、イザベルに美貌や年齢を褒めるのだ。ただ思えばあと少しで18歳になり本当に成年になる。最後に再び見せる物憂げな視線は、大人になりたかった彼女が17歳を振り返ってるように見えた。

印象に残ったシーン:イザベルが次々別の男と寝るシーン。事件後イザベルと母が2人で話すシーン。イザベルが老女と話すシーン。
亘