アヴァンギャルド映画の女神と言われたマヤ・デレンのデビュー作。
花、鍵、ナイフ、電話、レコード、鏡といった至って日常的なものしか出てこないのに、こんなにも時空が歪んだような、観ている者を混乱させる。
まさにシュールレアリスム作品。
迫りくるような規則的リズムを刻む音楽が、この作品の不気味さや不可思議さをさらに盛り上げる。
時間がテーマであり、現実では起こりえないことを時間という制約されているはずの暗黙の共通認識を打ち破ってくる。
時空に抗うゆえに制止した主人公と、繰り返される一連の動きを何度も観ることなどの意味は正直理解できなかった。
ストップモーション的なモンタージュや、天井から見下げるカメラワーク、スクリーンを「壊す」など、実験的な演出が多かったが、それらこそこの作品の真骨頂であり、内容の不可解さは二の次であった。