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恐怖のまわり道の3104のレビュー・感想・評価

恐怖のまわり道(1945年製作の映画)
3.7
まず邦題。サスペンスやホラーを想起させるが、そういう方向の恐怖ではない(原題はストレートに「まわり道」)。

主人公は最初から冴えない。作中の様々な出来事を経て追い込まれて墜ちていくのだが、すでに最初から墜ちているといえよう。墜ちている男が墜ちていく。
しかしそれもこれも彼の性格のせいである。“まわり道”から抜け出せるチャンスはいくらでもあったろうに、どこか他人事のように周囲に決断をゆだねたり引っ張られるまま。そんな男が辿る偶然(作品的ご都合主義)と不運に彩られた運命は、これはもう自業自得と言うしかない。

あとはなんといっても悪女のヴェラ。トゲのある表情、まるで優しさが感じられない口調、そして利己的で強欲な性格・・どれもが酷くて素敵だ(ヴェラという響きがまた悪そうな感じだ)。

終盤の電話コードをめぐるアクシデント後のカメラワークがとてもいい。鏡越しのカット、視線の動きに合わせ室内のものをフォーカスイン/アウトする一連の動き。

「史上最高のB級映画」とは少し持ち上げすぎかもしれないが、楽しくて楽しくない67分。
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