がく

アバウト・タイム 愛おしい時間についてのがくのレビュー・感想・評価

4.9
幸せって何だっけ?
時を過ごすってどういうことだっけ?
と、目の前が少し曇りかけた時に、そっと曇りを拭ってくれる作品。生きる意味を再認識させてくれたり、新たに気付かせてくれたりする、サイコーの映画。

日々生きていることに意味を見出せなくなるほど、疲れたり追い詰められたり、考え込んでしまったりした時に、どうにかこうにか時間をとって紅茶を手に観返したい作品。

観終わるとアバウト タイムという原題がしっくり来て、温もりを感じるようになる。時間について考え、時の過ごし方について考え、愛おしい時について思いを馳せることになる。邦題は間違ってないのだけど、余計な気がして、少々野暮な印象を醸し出してるかなあ。

作中の人物、髪型、腕時計やドレス、キルティングの掛け布団などの小物、雨の結婚式も含め、どれをとっても徹底して、絵に描いたような条件でない。適度にダサく、洗練されてなく、おしゃれの最前線から外しているのだけど、そこが一層キュートで色褪せることなく愛おしくさせてくれる。

タイムトラベルものかと思いきや、ラブストーリーなのかと思いきや、いやいや家族愛もの。前情報なしで観るとジャンルがナチュラルに変遷していくのが新鮮で、面白い。
タイムトラベル枠ではかなりライトタッチなので、頭を悩ませたい作品を観たい時には相応しくないかもしれないので注意。

主演のドーナルグリーソンは、白鯨との闘いのあの渋いブレンダングリーソンの息子で、今後味わいが増すのはもう間違いない。本作で時間の過ごし方を悟った筈なのに、スターウォーズ フォースの覚醒では、帝国軍の将軍にまでなっちゃってて、意外性が凄い。

レイチェルマクアダムスは、きみに読む物語に匹敵するぐらい可愛さが引き出されていて、友達の少ない独特のキャラからユーモアもある優しい妻となり母親となり、夫方の家族の一員になる様が自然で満点。うん満点。

美し過ぎるマーゴットロビーは、ウルフオブウォールストリートに繋がる良い美人具合を振りまいていて楽しませてくれた。

妻と過ごす時間がメインだけど、父親との時間が良かったなぁ。それに母親と妻との時間も地味に良い。
電話番号を交換する路地や家まで送り届ける道、海沿いのロケーションなどイギリスの雰囲気がいちいち素敵で行きたくなる。

これは誰かと語りたくなる映画の上位に入るなー。
がく

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