にいにい

アバウト・タイム 愛おしい時間についてのにいにいのレビュー・感想・評価

3.5
2014年、本作が公開されると良く言う人はいても悪く言う人はそんなにいない。1年に1本はある万人に受ける映画だった印象がある(『最強のふたり』みたいな) 自分も期待して観てみたが、なるほどこれはデート映画や家族で観る映画としてピッタリだと思う一方、どうしても何か引っ掛かる作品だった。

ドーナル・グリーンソン演じる主人公のティムの家系の男性には代々タイムトラベル能力がある。そのタイムトラベル能力を使って人生を豊かにするんだ!!という父親からの突然の告白。本作の肝となるのはタイムトラベル能力の存在である。

この映画の本質は要するに人生における些細な1日も考え方を変えればどうだろう、こんなにも愛や温もりに溢れていて輝いているじゃないか?ってこと。それをタイムトラベル能力を使いながら生きていくティムや父親の一生を通じて語りかけてくる。大切なことは過去や未来になく、ただひたすらに今にあるのだと。

この映画で定義も曖昧でご都合主義過ぎるタイムトラベル能力を批判することは本質とズレてるから野暮だって意見もよく見るが自分はどうしても引っ掛かる。紛いなりにも時間というテーマを扱っといて(例えそれがオフビートなコメディだとしてもだ) タイムトラベル能力なんて付随なんだから適当さ♪なんて流石に不誠実すぎる。本作で扱われるタイムトラベルが概念的に大きな矛盾も無ければもっと言いたいことも伝わってくる。

あと、本作でのタイムトラベルは言うてもちっぽけなことにしか使われていない。主人公のティムはタイムトラベルによって何か大きなものを失った訳でもない。むしろ、レイチェル・マクアダムス演じるメアリーを射止めたのはタイムトラベル能力のお陰だ(口説き方も彼女の求めるものを聞き出して2回目、3回目に演じるという野暮ったさ) 過去をやり直せる恩恵だけを受け続けた彼があの真理に辿り着けるのだろうか。辿り着けたとしても正直何の説得力もないというか、ちょっと冷めた。

登場人物は魅力的だったし、レイチェル・マクアダムスの可愛さも最高だった。ただ単にタイムトラベル能力を使ってレイチェルをゲットする前半部分はまだラブコメとして見ていられたが中盤以降、本質に迫っていくにつれて上記の理由で冷めていった。万人に受けるのも納得よなーと思う一方、一定数同じような理由で受け付けなかった人を発見しては安心していた1日やった。

※ティムの結婚式の日の父親のスピーチは良かった。例えタイムトラベルでやり直したものだとしてもただただ羨ましい関係だった。