映画全体に流れる雰囲気や個々のキャラクターは好きなんですが、はっきり言ってこの映画、根本的に今の自分が求めてる映画じゃありませんでした。
この映画がハマらなかったのは、数年前に、ある映画を観ていたのが一番の原因です。
(あえて、タイトルは出しませんが、アシュトン・カッチャー主演で、今作と似たような能力をもつ主人公の映画)なんですが、あの映画を観て最後は、泣いて喜びました。
それに比べて、この映画を観たところで、自分にとって人生の教訓や毎日を生きる活力になるとは思えません。
主人公が金儲けに走らないところは偉いですけど、主人公が幸せになったところで、「そんな能力があれば幸せになれて当然だ」と思ってしまいます。
たとえば、アメコミの『スパイダーマン』や日本の漫画の『るろうに剣心』みたいに、すごい力を持ってしまったばかりに苦悩する、他人のために自分の人生を犠牲にする主人公なら、そんな能力を持ってない自分でも共感できます。そんな罪悪感って誰でも大なり小なりあるでしょうから。
或いは、「そんな特殊能力を持っていたとしても、人生は思い通りにいかねぇよ!自分で後悔のない選択をしていくしかない。」みたいな感じのメッセージの映画の方が観ていて逆に元気をもらえます。
最後の方のある場面は、正直、うるっときたんですが、冷静になって考えると「親とたくさん会えて、普通の人より幸せだな」って考えちゃいます。
よく、親が死んだ後で「親孝行をしたい時には親はなし」みたいな後悔をする人は、
おそらく、親孝行しようにもその時は自分の家庭を持ったり、仕事が忙しかったり、自分の生活に余裕が無いから出来ないんだと思います。
かく言う自分は、出来る限りの親孝行・祖父母孝行はしていますが、
仕事もまだまだ満足いくところまで出来てないし、結婚もしていません。
だから、親許を離れて自分の家庭を築いている人の方がよっぽど立派に見えます。
あと、最後の結末も、人生の送り方として、あまりいい方法とは思いませんでした。
ただ、役者さんの演技は基本的にいいです。
ヒロインのレイチェル・マクアダムスがすごい美人で、
あと、キットカット役のリディア・ウィルソンが愛すべき妹を演じていたのが、よかったです。
もちろん、親父役のビル・ナイもいいです。
マーゴット・ロビーが出ていたらしいですが、あまり印象に残ってません。
あと、主人公の周囲に愛すべき変人や駄目人間が多くいるのがいいです。
この監督は、『ノッティングヒルの恋人』の脚本を担当した方ですね。
あの映画もそうでしたけど、
“ヒロインをすごく美人に描いて、周囲の愉快な仲間を描く“っていうのが、好きなんでしょう。
このfilmarksの平均点が高いのはわかりますが、正直、今の自分にはハマらなかったってことです。