DTAK

アバウト・タイム 愛おしい時間についてのDTAKのレビュー・感想・評価

1.4
【おい、流した涙を返せよ!!!】

自分、終盤の卓球~海岸散歩シーンで大号泣したけどね。
ああいう父子のシーンってのには弱いんだよなぁ。

誰もが指摘すると思うけど、
タイムトラベルの設定に致命的な破綻がある。
それって『君の名は』に近いものだけど、今回は主人公がクソ野郎過ぎたせいで、ノイズでしかなくなった。

<<過去には戻れるが、未来には行けない>>
これが一番のネック。

「あれ?過去に戻って改変したら、<戻る前の現代>に戻ることできるの?それは<別の現代>になるから、<未来>なのでは???」
てツッコミは野暮なんだろうね笑

もちろん、主人公は最初、調子に乗るから改変しまくるんだけど。
タイムパラドックス話にはよくある、予想外の改変リスクに気づくときが、
「自分の子供が変わってる!」ってそれタイミング遅くね??と。

この作品で主人公が一番クソなのは、
ここで「こいつは俺の子じゃない」とまた過去に戻ってしまうこと。
え?<改変された子供>の存在は、なかったことになるの?
その<改変された子供>もお前の子供なのに!とドン引き。

他にも、事故にあった妹のアル中を更生させる方法がひどい。
そもそも妹の自由意志が無い上に、
秘密をばらしてまで過去改変して上手くいったけども、
例の<改変された子供>で、「やっぱ今のナシなー!」って
妹を結局事故に合わせるっていう・・・改変を取り消す行為。
つくづく自分本位じゃないかこいつ。

ヒロインとの<出会いのやり直し>もひどかった。
(暗闇レストランとか、初ベッドインで何度もやり直す件は面白かったけど笑)

ヒロインが付き合っていた<彼氏>に<出会わなくさせた>あと、
主人公がその<彼氏>の背中に向かって吐いたセリフが
「あいつはチャラい」とかお前本当になんなんだよ?
テキトーなケイト・モス知識でヒロインを引っかけようとしている時点でお前も同類じゃないか。

それは攻略ではない、チートだチート。
むしろそのチャラい<彼>の方が正々堂々と行っているぶん、好感度が高いぞ。

終盤の、<同じ能力を持つ父親>と過去で一緒に<最後の散歩をする>シーン。
大泣きした後によくよく考えてみると
「本来の<初回の散歩の時点>で父と息子の記憶はどうなってるの」ってのと
「父親は<未来から来た息子>とのやり取りから自分の死期を知っている」ということじゃないですか。

それだったら散歩だって卓球だって何度もやり直せるじゃねーか。
おい涙返せ!!

父親が過去をやり直さない理由ってのが「お前(息子)が生まれる前だから」ってだけ。
じゃぁ息子が生まれてからでもいいからタバコやめろよ。長生きしろよ。

他にも細かい点としては、
子供がヒロインの仕事場にいたずらしたピンチもぶん投げっぱなしだし。
(あのドレスずっと着替えるシーンて何か意味があったっけ?)

血筋なのに妹には能力は備わらないんだって所もなんつーか。
じゃぁ主人公の子供達は女性だからここで打ち止めってことだよね?

あと、ヒロインの中途半端なアメリカ人設定って何あれ。
なんにも生かされてなくないか?

全体的に台詞回しも古臭いしなー。
イギリス舞台だから少々仕方ないのかもしれないけども。

これは言いたいのだが、音楽の使い方が非常にダサい。
まるで「NOW!!」系のオムニバスのCDを使いまわしてみましたーっていう。Tatuとか流れてたでしょ。
時代設定がよくわからないのでなんとも言えないが、その後の<現代>のパーティでNellyの"Dilemma"は無いだろ・・・

時間経過を表すための地下鉄のバンドの描写も、
あまりにも陳腐すぎて気持ち悪いなぁ・・としか。

で、一番腹が立ったのが
「自分が未来から来たと思って、日々を大切に生きる」って結論。

良いこと言っているようで騙されねーぞ?

主人公の<今の幸せな日々>が成り立ってるってのは、
タイムトラベルのチートを思う存分に使ったおかげでしょ。
後に「能力に頼らない」っていい話風になってるけど。

結局、自分の都合のいいところでチート使うのやめただけじゃないか?

何が「父を超えた」だよ。
偉そうにモノローグ語ってるんじゃねぇよ。

だったらヒロインと出会うずっと前の、
能力を使い始める21歳のところまで戻って、
そこで、タイムトラベルのチート無しでもう一回やり直してみせろよ。

それでもあのヒロインと出会って、
あの幸せな結婚生活を送れるってところまで描写してほしかったなぁ。

映画館で観なくてよかった・・・
DTAK

DTAK