凛太朗

アバウト・タイム 愛おしい時間についての凛太朗のレビュー・感想・評価

3.7
21歳の誕生日に、父親から「一族の男には代々タイムトラベルできる能力があるのじゃ!」と告げられるティム(ドーナル・グリーソン)。
その能力を駆使して魔王討伐に…ではなく、恋人を作るために使うことにしたティム。

妹キットカットの友人シャーロット(マーゴット・ロビー)が夏休みで滞在することになって、ティムの最初のターゲットとなるわけだが、最後の日に告ったらもっと早くに言ってくれたらと言われ、過去に戻って早めに告ったら、最後の日まで待ったらどうのこうのと言われ…

どないやねん!
いや、シャーロットの言い分はわかりますよ。優しさだか自分のプライドを傷つけないためだか何だか知りませんけど、よくある程のいい断り文句です。
だがティムよ。テメーは折角タイムトラベルできる能力持ってんだから、振り向いてもらえるように死ぬ程努力しろ!
コメディタッチで努力しろ!
とか思ったとか思わないとか。
後にシャーロットが再び現れた時、シャーロットの方から誘って来てますので、生理的な受けつけなかったとかいう致命的な大打撃でもなかったんでしょ。多分。

結局この夏の恋が駄目で時は過ぎ、ロンドンで弁護士として働きだしたティムは、友人のジェイと行った暗闇でドッキリなレストランにて、ケイト・モス大好きなメアリーと運命的な出会いを果たす。
そして、あーだこーだと紆余曲折を経てくっつくことになるわけですけど、テメーはあっちにこっちに八方美人がすぎるぞ!やり直しが効くからといってやりたい放題すぎ。
まぁそういう設定のお話ですからね、能力使わないと意味がないわけなんですが…

というかこの映画、思いの外恋愛映画らしい恋愛映画じゃなかったという。
寧ろ家族愛の方が素敵だったよ。
父親役のビル・ナイがホント素敵すぎた。
レイチェル・マクアダムスは勿論キュートでチャーミングで男心をいい感じに刺激してくるわけです。

でも個人的にこの映画で言ってることってのは、オレはもうそれは既に知ってるし、そのつもりで生きてるんですよって感じで、どうしても浅く見えちゃいました。
現実的でありながらも夢見がち、妄想しがちな人間なもので、勿論過去に戻れたらとか、あの時別の選択をしてたら、とか考えないわけでもないんですけど、過去に如何なる選択をしていようが、人間に想像力、考える力があり、他者との関わりの中で生きてる以上、如何なる決断を下しても後悔は付き纏うというのが持論なんです。
そしてこの後悔に苦しむことこそが、人間を成長させる為に必要なステップであり、苦しいことがあるから幸福を幸福だと認識できるものだと思うんですけど…

なんかもう、間違った選択したらやり直せばいいや!みたいな感じで、間違ったことをした事に対しての苦悩や葛藤がまるで見えてこなくて、それじゃ成長もクソもないでしょうがって、正直おもっちゃいました。そもそも、それが間違いだったのかどうかを考える時間すらない。すぐ過去に戻っちゃうから。

それでも逃れられない死と別れを描き、悟ったかのように死を冷静に受け入れるところはよかった。主にビル・ナイが。
凛太朗

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