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アバウト・タイム 愛おしい時間についてのHIROのレビュー・感想・評価

4.3
自分に自信のなかった青年ティムは一家に生まれた男たちにはタイムトラベル能力があることを父親から知らされる。
タイムトラベルを通して本当の愛や幸せとは何かに気づく姿を描いたお話。

素晴らしい作品でした。

泣かせる系ラブロマンスかと思いきや心温まる家族ドラマ。

何気ない日常の中にも実は愛おしい瞬間が沢山あることを思い知らされました。
それは愛する彼女の寝顔だったり、友達と遊んでいたり、家族と食事をしていたり、父親と卓球をしたり。
温かみのある映像と素敵な音楽が物語を彩り、ティムの日常が輝いているように見えました。

ティムは本当に恵まれていると思います。
素敵な彼女メアリー、いつもいろんな大切なことを教えてくれる父親や優しい母親、何だかほっとけない妹に天然な伯父。
誰もが魅力的なキャラクターで可愛らしいんですよね。

タイムトラベルを使った笑いどころを用意してくれてるのも良かったですね。
メアリーとの初夜だったり、初恋相手のシャーロットとのやり取りだったり、どれも優しい笑いに包まれる。

あの時に戻ってやり直すことができたらもっとより良い現在が待っていたかもしれないと過去を悔やむことは沢山ある。
でもこの作品では過去に戻ることの重要性なんか描いていないんですよね。
結局未来を決めるのは今どう行動するか。

何気ない1日をもう一度体験すると見えるものがある。
忙しさに追われがちな毎日だけど、一分一秒を噛み締めながら生きていれば毎日は愛おしいことばかりということに気付かされる。
味気ない無機質な日常も実はカラフルでキラキラしているのかもしれない。
幸せはどこにでも転がっているのかもしれない。
その小さな幸せを見つけれるかどうかが人生を楽しむ秘訣なんでしょうね。

家族と過ごし笑いあってる日々はいつまでも続いて欲しいと思う。とても幸せな時間だから。
でもそれはいつまでも続くものではなくて、ある日突然終わることだってある。
でもいつまでもそれを悲しむのではなくてそれを受け入れて前に進むことが本当の意味で「生きる」ということなんだろうと考えさせられました。

過去を変えることで現在を変えようとしてたティムだけど、現在を受け入れて未来へ踏み出そうとするラストはとてつもなく勇気づけられたし、爽快で温かい気持ちになりました。

また、始めはティムはタイムトラベルすることで現実逃避してるようにしか見えなかったけど、本当に大切なことに気付き成長していく過程は見ていて優しい気持ちにもなれました。

正直タイムトラベル描写は矛盾が多いしツッコミどころのオンパレードではあるけど、次第にそんなことはどうでもよくなるなるくらいにこの魅力的な物語に引き込まれました。

何気なく日常を生きていることに感謝したくなるような作品でした。



2015-78
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