ろ

アバウト・タイム 愛おしい時間についてのろのレビュー・感想・評価

5.0

過去は過去として、すんなり割り切れたらいいのにと思うことがある。
気持ちのすべてを‘いまこの瞬間’に集約出来たらもっと楽なのかもしれない。だけどそんなに器用に生きられない。
あのときこう言えばよかった、しまったこんなこと言うんじゃなかった。
後悔は何度辿ってもなかったことにはならなくて、時間が経つにつれて薄れるどころか苦くなる気がする。その苦みをうまみに変えられる日は来るのだろうか。

おじさんが手掛けた舞台は役者がセリフを忘れてしまったことで台無しになった。
彼女とまた会いたくて待ち続けたのに、すでに新しい恋人がいた。
彼氏とケンカした妹は、飲酒運転で事故を起こしてしまった。
すべてを同じようによくしようとタイムトラベルを繰り返した結果、思い通りになったものもあれば叶わなかったこともある。
タイムトラベルのおかげで忙しい毎日に楽しみを見出す一方、一度きりだから深く心に残る出来事だってある。
美術館で彼女が現れるのを待ち続けたあの時間も、大雨の日に挙げた笑いの絶えない結婚式も、完璧じゃなかったかもしれないけれど、ティムにとって大切な思い出になる。

「恐竜が教えてくれたこと」のラストシーンで、丘の上に暮らすおじいさんが「できるだけたくさんの思い出を集めるんだよ」と教えてくれた。
お父さんが過去から消えてしまうその前に再生する海辺の思い出は、これからもずっとティムを支えていくのだろう。たとえその過去にタイムトラベル出来なくなったとしても。

やり直せると分かっているから思い切って飛び込める。
一度きりと決めているから今を楽しむための人生が愛おしくなる。

「僕たちは一緒に人生をタイムトラベルしている。今を精いっぱい生きて、素晴らしい日々を噛みしめよう」



( ..)φ

夜の飛行場みたいに、小さな灯りがチラチラと揺れる真っ暗なレストラン。
イチゴムースを食べさせてもらったら、口じゃなくて目に入ってしまう貴族の遊び(ちがう)、楽しそうだったなやってみたいな。

それからケイト・モス展の場面でかかる音楽、The cure‘Friday I’m In Love’が可愛くてすぐ調べちゃった。それでYouTubeで聴いてたら、シングストリートで使われてた曲が流れはじめて、これもか!知らないうちにThe cure聴いてたのか!とかなりビックリしました。
ろ