ずどこんちょ

LEGO(R) ムービーのずどこんちょのレビュー・感想・評価

LEGO(R) ムービー(2014年製作の映画)
3.8
レゴの映画を侮ることなかれ。
評判通り、たしかに奥深くて面白い映画でした。
子供も楽しめるレゴの冒険アクションではあるのですが、一方で終盤の突然の展開には確実に大人の方がハッとさせられます。
「上にいるお方」「奇跡のパーツ」って、そういう事だったのね!!
終盤の展開に感心しまくりでした。

主人公は建設作業員のエメット。
どこにでもいる普通のレゴ住民です。パックセットとかに入ってるその他大勢の一人。何の特徴もありません。
朝起きて着替える時、色々なコスチュームを持っているのですが建設作業員のいつもの格好を好みます。彼は"平凡"であることや、マニュアル通りに仕事をすることを自ら望んでいるのです。そこから外に踏み出そうとは思っていない。
そんなある日、ひょんなことかは「奇跡のパーツ」を手にしたことによって、レゴ世界をお仕事大王の魔の手から救う「選ばれし者」として担ぎ上げられるのです。

この世界はお仕事大王がレゴたちを決められた世界で決められた通りに動くことを強制しています。そんなお仕事大王の目の敵が、マスタービルダーたち。
マスタービルダーは、独自の自由な発想に則って様々な物をクリエイティブに作り出す能力を持っていて、お仕事大王の制圧から逃れようとしています。
マスタービルダーの一人、ワイルドガールと出会ったエメットは、バットマンや予言使いなどと出会い、「選ばれし者」としての期待を背負ってしまいますが、彼には2階建てソファなどおよそ武器にはならないような物しか創造することができず、困り果てながらもお仕事大王と対峙していくのです。

大きな二つの驚きがあります。

まずは純粋にレゴのみで作り出す世界観や演出の細かさ。
ストップモーションアニメに見せかけてCGアニメらしいですが、大海原の白波や汽車の煙、爆発などもレゴで表現している細かさに目を見張ります。

そして二つ目が設定の奥深さに驚きます。
まずレゴというブロックの特徴として、自由な発想で何でも組み立てられること、そして各世界観ごとにまったく雰囲気を変えて作り上げられることが挙げられます。
だからこの世界では中世の世界やオフィス街、西部劇の世界などいくつもの世界が大きな壁で仕切られており、さらに「創る」という行為が自由を勝ち取る革命的な行為として設定されています。
お仕事大王が人々から自由を奪うために持ち出した強力な武器は、接着剤です。
接着剤でレゴたちを固定化することこそ、何でも作り上げられて無限大の可能性を持つレゴにとって自由を剥奪される行為に等しいのです。

そして、更に世界がひっくり返る設定の登場。
ここが最大の見どころです。是非大人にこそ見届けてほしい。
なぜお仕事大王が自由を剥奪していたのか、そしてレゴの本望とは何だったのか。「上にいるお方」や「奇跡のパーツ」の正体とは。
そのすべてが一気に明らかになります。
よく考えたら接着剤やゴルフボール、世界観ごちゃ混ぜの登場人物など伏線はいくつも張られていました。

子供向けの映画にカモフラージュさせながらも、大人の心に響く真剣なメッセージを込めており、一つの映画として作り込まれていました。