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LEGO(R) ムービーのRenのレビュー・感想・評価

LEGO(R) ムービー(2014年製作の映画)
4.5
ほとんど完璧な映画。「普通の人」によるクリエイター讃歌が、『フリー・ガイ』の7年前にこのクオリティで実現されていたとは....!観る人を選ばない極上エンターテイメントの決定版。

自分は新しいものが好きなので、見たことのないアニメ表現を見せてくれただけで満点。初めて『スパイダーマン:スパイダーバース』を観たときの感動に似ている....と思ったら、脚本が同じ人で超納得した。

「キャラクターの可動域がレゴのミニフィグらしく極端に狭い」「ガジェットがその場のレゴを解体し再構築されてできていく」「火や水などの特殊効果も全て物質的(レゴだから)」というCG表現の発明の嵐。
そしてそんな表現が100分間矢継ぎ早に画面に現れる快楽!過剰とも言えるサービス精神が素晴らしい。

内容についてもとにかく素晴らしい。
端的に言えば、何かを創造する中で、全ての個性の素晴らしさを問うた作品。この映画は、没個性さえも個性として掬い上げてみせた。
会社の労働力・社会の歯車としてなんとなくマニュアル通りに毎日生きる人を、それ自体を強みとして光を当てたことが素晴らしいのであり、そういうメッセージがこのクオリティのアニメーションで(しかもアメリカ映画で)体現されたことに感動した。
普通の人とは言っても、実は選ばれし者でしたーなオチや、現状を打破しろ!というポジティブの押し付けだったりする作品は多いしそれはそれで良いけど、やはりその瞬間に「自分の映画ではないな....」と突き放される感覚も正直あったりすると思う。が、今作は確実に自分の映画だったし、あなたの映画だった。

もちろん何かを創造する・クリエイトすることへの讃歌としても隙の無い作品。
LEGOの語源はleg godt(よく遊べ)。組み立てたり崩したりしながらアイデアを形にできるのがレゴの醍醐味だし最も大切なところ。
物事は完璧で綺麗でなくても良いし、自分の中のどんなアイデアも捨てることはない、と寄り添ってくれる優しさ。どんな映画よりもレゴ映画でやることに意味があるし、技巧とテーマが完璧に合致しているのが美しかった。

どの角度から語っても死角無しの大傑作です。子どもとワイワイ観るも良し、大人になってじんわりと観るも良し。誰かと語りたい!

その他
○ かなり『トイ・ストーリー』的だし、実際重ねながら観てしまった部分もあった。おそらく、
・「列車が渓谷へ落ちるシーン」(トイ・ストーリー3より)
・「ワイルド・ガールがトランシーバーを投げて扉をロックするシーン」(トイ・ストーリー2)
これらはオマージュとして少し意識しているはず、間違ってたら恥ずかしいけど。

【余談】
アカデミー長編アニメーション部門のノミネート条件
○ 上映時間が40分以上であること
○ 主要キャラクターがアニメーションで描かれていること
○ 上映時間の75%以上をアニメーションが占めること
(Wikipediaより)
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