原題を直訳すると「ジェボと影」。
登場人物は、影というか悪魔のような息子と善良で清貧な父親ジェボ、その妻、息子の嫁でもある養女のほぼ4人。
映し出される舞台は街路とドア1枚で隔たれただけの居間、ほぼそこだけ。
台詞はまるで小説を読んでいるかのように状況説明的な独り言が多い。
それでも最後まで観れてしまうのは筋書きが興味をそそり展開にハラハラさせられるのと、画の動きの少なさを補える表現力豊かな俳優たちのお蔭。
暗転のような間を挟んだりして、舞台劇のようだった。
照明がとても良い。
ランタンの灯りが映え、クラシックで錆びついたような色味が妙にモダンに見える。
短編小説を読んだような余韻が残り、暫し考え込んでしまった。