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ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅のtjZeroのレビュー・感想・評価

4.2
徘徊をくり返すなど行動があやしくなった老父。彼の放浪にとことんつき合おうと決めた息子は、モンタナからネブラスカまでの長いドライヴに同行する…。
モノクロの映像が、アメリカ中西部の雄大な風景を美しく捉えてる。と同時に、白黒映像という事で、どこか現代のおとぎ話めいた、普遍的な広がりを持った印象も与える。
アレクサンダー・ペイン監督が描く人物像はいつも自然体で、観ている側からの共感度が高い。
あと、人を殴ったり、キスするシーンなんて、見飽きてるはずなのに、本作にそれぞれ一度だけ出てくるパンチ&キスのシーンのなんと感動的で、インパクトがあることか…大事なシーンを無駄遣いしていない。
クライマックスもまた同じで、小さなトラックがノロノロと徐行しているだけなのに、まるでナポレオン軍がパリの凱旋門をパレードしているかのような感慨がある。それ位効果的で、繊細な演出。
それ以外にも非常にデリケートで細やかな演出をしているんだけど、それが計算高くとか神経質な印象は与えず、むしろのんびりと奔放に撮っているかに見えるレベルの高さ。

家族と向き合う時間の大切さとか、上手なウソのつき方とか、老いた親とのつき合い方とか、ありふれてるんだけど大事なことを自然体で示してくれる珠玉のペイン監督作を、これからもリアルタイムで味わっていきたい。