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ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅のクレセントのレビュー・感想・評価

4.0
父と息子はようやくネブラスカにある会社にたどり着いた。あの100万ドルに当選した手紙を送った会社だ。ウディ(B。ダーン)は黙ってドアを開け、受付の女性に言った。「当選した100万ドルを貰いに来た。」そして、手紙を差し出した。女性は受け取るとコンピュータで番号を調べた。「残念ですが当選していません」「当たっていると書いてある」「当選番号が一致した場合です」「お気の毒です。どちらから?」そこで息子が答えた。「モンタナ」「なんてこと!」息子は振り返って「父さん、わかったろ?」女性が申し訳なさそうに言った。「プレゼントがあります。帽子かクッションを」「どっちがいい? 父さん、帽子かクッションだって」「帽子!」賞金当選者と書いた帽子をもらうと父親は子供のように、気分を取り直して出て行った。息子は女性に聞いた。「よくあるの?」「時々ね。高齢者が多いけど。」「人の言葉を信じやすいんだ」「それは大変ね」

「父さん、チョット待って。寄るところがあるんだ」しばらくして息子は真新しいピックアップカーに荷物を運び込んだ。「お前の車はどうするんだ」「トラックに替えてもらったんだ。それに名義を父さんにした。」「宝くじの連中と交渉したのか?」「ああ、喜んでトラックをくれた」それからコンプレッサーも買った。息子は言った。「父さん、ちょっとだけ運転していいよ。」街の連中が驚くなか、父親は悠然と、得意そうに車を走らせる。彼は100万ドルが当たったら買うつもりだったのだ。それで満足だった。

老いた父親にとって人生最後のネブラスカへの旅。はたしてどこまでわかってくれたのだろうか。しかし息子はようやく父親の心を理解した。これからはもっと話を聞いてあげよう、と。
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