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ローン・サバイバーのYYamadaのレビュー・感想・評価

ローン・サバイバー(2013年製作の映画)
3.6
【戦争映画のススメ】
ローン・サバイバー (2013)
◆本作で描かれる戦地
2005年/ 米海軍ネイビーシールズ
 対タリバン「レッド・ウィング作戦」/
 アフガニスタン (実話)
◆本作のポジショニング
 人間ドラマ □□□□■ アクション

〈本作の粗筋〉 allcinemaより抜粋
・2005年6月、世界最強のアメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズが、タリバン幹部の殺害を最終目標とした極秘任務「レッド・ウィング作戦」を決行。マーカスを含む4人の兵士が、アフガニスタンの山岳地帯に降下し偵察活動を開始するが、無線状態が悪く、本部との連絡がうまく取れない。
・そんな時、山羊飼いの男たちと遭遇し、彼らを拘束するが、その処遇を巡って意見が割れる。極限状況のなか、激しい議論の末に苦渋の決断を下すマーカスたちだったが…。
〈見処〉
①仲間は命をかけ、たったひとりを守ろうとした――想像を超える真実の物語。
・『ローン・サバイバー』は、2013年に製作された戦争映画。
・本作は、米海軍特殊部隊ネイビーシールズ最大の惨事「レッド・ウィング作戦」において、奇跡の生還を果たしたマーカス・ラトレル元隊員が執筆し、全米ベストセラーとなった手記「アフガン、たった一人の生還」を映画化したもの。
・本作の舞台はアフガニスタンであるが、実際の撮影は米国ニューメキシコ州で行われた。
・主演はマーク・ウォールバーグ。テイラー・キッチュ、エミール・ハーシュ、ベン・フォスター、エリック・バナが共演。
・監督は、本作の後にウォールバーグと
『バーニング・オーシャン』『パトリオットデイ』『マイル22』にてタッグを組み、
「ダブルバーグ」と称されるピーター・バーグ。

②レッド・ウィング作戦
・レッド・ウィング作戦は、2005年6月27日に、米海軍特殊部隊ネイビーシールズがアフガニスタンの山岳地帯に隠れるタリバンの幹部殺害のために行われた軍事作戦。
・5段階に分けられた作戦の「フェーズ1」として、4名の偵察チームを派遣し、可能ならば狙撃により殺害。不可能であれば航空支援による空爆で排除を行う予定であったものが、最終的に米軍計19名が戦死するという大きな損害を出し、ネイビーシールズ創設以来最悪の出来事となった。
・なお、本作では山羊飼いの男たちと遭遇が、ネイビーシールズ偵察チーム4名が襲撃を受けるきっかけと描かれているが、実際には、ヘリから降下した時点でタリバン側に見つかっていたとされ、タリバン兵を50名以上を殺害した描写も、実際のタリバン兵の死者は0人。マーカスは交戦せず、逃げ出していることを彼を救済したアフガニスタンの村人モハメッド・グーラブが証言しており、本作原作は自分本位の脚色が加えられているようだ。

③結び…本作の見処は?
◎: 本作中盤に描かれるアフガン山岳で米軍4名が防戦する銃撃シーンは、ドキュメンタリーさながらの生々しい描写。崖から転び落ちるほか方法のない決死の脱出劇は、大きな絶望感を味わうもの。
○: 他の戦争映画に比べ、本作で描かれる軍人は、軍法に則り行動する「常識人」であることが、彼らの災難を招く結果となることが興味深い。
○: タリバン敵対に覚悟を示すアフガンの村民たちの勇気が印象的に描かれている。タリバン政権となった現在、彼らの安否が大いに心配にさせる作品。
▲: マーク・ウォールバーグ迫真の演技が、原作者自らの虚構であるのであれば、大変残念だ。
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