あきしげ

ファインディング・ドリーのあきしげのレビュー・感想・評価

ファインディング・ドリー(2016年製作の映画)
3.0
記憶障害という笑えない主人公を都合良く利用。

良かった点。

・ピクサーの高い映像技術
・安心して鑑賞できる内容
・ドリーの諦めない行動力

悪かった点。

・ドリーの物忘れの都合の良さ
・全員が全員協力的すぎる展開
・タコの能力が拡大解釈すぎる

前作から13年の時を経ての続編。
ピクサーらしく可愛らしいキャラ。
そこに丁寧な物語が展開している。

そういう意味で期待していた。
しかし、本作はちょっと違う。

主人公は物忘れが激しいドリー。
そのレベルでは済まされません。

ニワトリは三歩歩くと忘れる。
本作のドリーはその通りです。

だが、忘れるポイントが分かりづらい。
明らかに場面に合わせて忘れています。
ここら辺は製作側にとって有利な点だ。
逆に利用されているように見えました。

ピクサーのイメージだとストーリーは丁寧。
緻密に練られた設定や伏線というイメージ。
そこに感動や喜びなどを上手く入れていく。
ベースの高い品質の映像技術も支えている。

ですが、本作はドリーの物忘れが基準となります。
つまり、製作側の意図にドリーは動かされている。
そんな印象がずっと最初から最後まで感じました。

両親との再会はもっと感動できたはず。
それなのに案外とあっさりなのも微妙。

展開が読めたけど期待通りじゃなかったのです。
どうしてもドリーの利用されている感じがした。

そして、あまりにも恵まれすぎた仲間たち。
本来なら困難に襲われて恐ろしい敵が出現。
邪魔されて上手くいかない場面を描きます。
だが、本作には邪魔する相手がいないです。
だからドリーの物忘れに頼ってしまう状況。

あまりにも物忘れを強調しすぎたせいで笑えない。
そのような病気に悩まされている人の事が浮かぶ。
他者の欠点を観て楽しむ事は自分にできなかった。

タコ七ことハンクの万能すぎる立ちまわり。
体の色を変え、車の運転まで出来てしまう。
さすがにちょっとやり過ぎたのかなと思う。
結構好きなキャラクターだけに残念でした。

マーリンとニモは本作に必要だったのか。
彼らの役目は現在のドリーの家族である。
一緒に旅をする必要性があったかは疑問。
冒頭と終盤だけ登場すれば良かったかと。

ドリーを主人公に置くなら彼女だけの冒険にする。
そのたどり着いた先で仲間を見つけて目的を達成。
最後はマーリンとニモの元に新たなる仲間と帰る。

こっちの構図の方が個人的にしっくり来た。
マーリンとニモは出したかったのだろうな。

あと本人役で登場する八代亜紀は嫌いじゃない。
字幕だとシガニー・ウィーバーとなっているが。
ちょっとしたギャグだが悪くないと思いました。
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