茶一郎

寄生獣の茶一郎のレビュー・感想・評価

寄生獣(2014年製作の映画)
3.4
山崎貴監督、どうしちゃったの!?
まず、今作は二部作の前編です。後編は4.25公開です。では
以下、原作に非常に影響を受け、単行本、完全版を購入し、それなりに原作のファンである私の個人的な感想を……

山崎貴監督作品といえば大仰で過剰な演出、長ったらしい説明台詞、特に「BALLAD 名もなき恋のうた」は僕の映画体験至上、ワーストの作品です。
ドラえもん、宇宙戦艦ヤマト、クレヨンしんちゃん…など様々な名作の翻訳を失敗し続けてきた(個人的な意見です)山崎監督。

一方、どうでしょうか。個人的には、今作の翻訳は成功だと言えると思います。
確かに冒頭の日常が非日常になる様を描くアバンタイトルの演出は少し過剰目だと感じましたし、原作の大切なセリフを言うタイミングのカット割り等、多々気になる点はあります。
しかし、それはあくまでも僕の原作の解釈の方法であり、今作は映画として面白いと思いました。

原作は様々なテーマを持ち、それらをメッセージとして伝えますが、今回、山崎監督は特に母親との関係を重視したのでしょう。(原作では主人公の両親健在ですが、映画では片親に改変されています)
このことについては監督、蓋し慧眼だと感じました。
おそらく、前編は主人公の成長を後編は寄生生物であるミギーの成長を描くためではないか?だと考えます。(もちろんある種、ファミリームービー的な狙いうちもありそうですし…)
ある重要な回想を映像として見せないのには納得がいきませんが、今までの監督とは思えない丁寧に主人公と母の関係、その結果を描写できていると思います。


結果として、到底原作を超えているとは思いませんでしたが、映画として十分に楽しめました。

ゴア描写から逃げなかったこと。役者さんの演技、特に東出昌大さんはまさにハマり役だと思います。

映画秘宝の監督インタビューを拝見して、まさか!?と思っていましたが、ここまで面白いとは。

さて、後編(完全版)はどう翻訳されているのでしょうか。
今から、少し楽しみです。
茶一郎

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