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寄生獣のろのレビュー・感想・評価

寄生獣(2014年製作の映画)
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先日、図書館で行われた講演会「このマンガも学習マンガだ!」を聞いてきました。
たとえば「のだめカンタービレ」だったり「ちはやふる」だったり、娯楽マンガとされる作品にも(知識だけでなく人生における)学びがあるね、という内容。
その中で、「寄生獣」には哲学的な問いかけがあるというお話が出ました。
ということで、実写映画を鑑賞!

め、めちゃくちゃ怖かったです!!!
ホラーコーナーに置いてある時点でおかしいなと思ってはいたんだけど(笑)、ヒビケアで修復できないぐらい頭パックリ割れるし、とにかくもうめちゃめちゃ殺される!特に、薄暗い中華料理店での惨殺が衝撃でした。

実は、2年前に観た「デリカテッセン」がトラウマで(笑)
2か月ぐらい全く肉類が食べられなくなったんですよ。パックで売られているものもそうなんだけど、ソーセージとかベーコンとか加工されたものも一切。家族が食べているのを見るだけで吐き気がして、あれは精神的にも栄養的にもかなり辛い体験でした。
今回は「デリカテッセン」よりも人間ムシャムシャ描写が多かったけれど、なんとか大丈夫だったかな。少しは刺激に強くなったのかもしれない・・・

とはいえ、余波がハンパないです。
夜中に何度も目が覚めて、耳元にミギー(寄生獣)がいるのでは?と暗闇を手探り。(寄生獣は耳から脳に寄生する)
朝テレビをつけると、情報番組やコマーシャルの出演者の顔が、全員 東出くん(張り付いた不自然な笑顔・目が笑っていない)に見えて怖くて、今にも顔がパックリ割れるんじゃないかとドギマギ。
いつもはホッとする母の笑顔もやっぱり怖くて、想像の中で3回ぐらい心臓をもぎ取られ、2回ぐらい目ん玉くり抜かれました。
だから自分の顔にも母の顔にも、ガムテープをバツの字に、何重にも貼り付けたくなってしまった(笑)


自分でも不思議なのは、戦争映画やアクション映画の描写(たとえば「プライベート・ライアン」の冒頭)は大丈夫だということ。
たぶん、“想像の幅”がキーになっているんだと思います。
戦争やアクションものは映画の中で割と完結していて、それ以上想像が発展しない。
もちろん戦争映画の場合だと「実際に体験した人は・・・」と思いを馳せるけれど、それはまた怖さとは違う。
一方、ホラー映画には想像の余白が、無限にあるんですよ。
しかも日常生活ととても近い。
もしもこのテレビから・・・もしもシャワーカーテンの向こうに・・・
考え出すと止まらなくなって、何日経っても(何年経っても)怖さが色褪せなかったりする。
ホラー映画には想像を止まらなくする力があるし、そういう意味では底知れない想像力が一番怖いのかもしれません。

そしてよくよく考えてみると、「寄生獣」はうつ病はじめ、精神疾患ととてもよく似ているんだなと思いました。
見た目でよく分からないのはもちろん、もともと持っている個性を侵略され乗っ取られていく。取り返したり、また乗っ取られたりを繰り返しながら“共生”していく。
細胞が複雑に絡み合うことで、身体能力が抜群に向上する。その一方で感性を失いつつある新一。そして人間のように睡眠を取るようになったミギー(寄生獣)。一つの体に共生する彼らと自分が、少しだけ重なって見えました。


( ..)φ

「人間は他のたくさんの種族を捕食しているんだぞ?なのに同種が食べられると、なぜそんなに取り乱すんだ?」

「いろいろ調べてみたが、やはり悪魔に一番近いのは人間だ。」
ろ