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シンデレラのTAKUのレビュー・感想・評価

シンデレラ(2015年製作の映画)
4.5
ディズニー映画に限らず、最近のハリウッド映画における“再解釈”や“リブート”という風潮は大っ嫌いだ。客入りが悪いから老舗の味を今風にすれば若い奴らと常連客が来るという考え方が気に入らないからだ。そんなこんなで、4月くらいに映画館で本作の予告編を観たときに、「面白そうだけど、どうせ『アナ雪』みたいな再解釈モノだろ。子供騙しが!」とスルーしていた。

年末の見逃した映画の落ち葉拾いみたいな感覚で観たが、正にザ・ディズニー・クラシックな秀作。ストーリーも展開もその名の通り『シンデレラ』。“ 勇気と優しさ、それと夢と魔法を信じる心を大切にしよう”というベタできれいごとにしか感じられない物語を一流の演出、脚本、美術、音楽、役者で真正面から描かれてしまうともうひれ伏すしかない。ベタは普遍的に力強く、きれいごとは実際に綺麗で美しい。参りました!!!。

ディズニープリンセスモノの王道である『シンデレラ』を如何にして語るのかという点において、監督がケネス・ブラナーというのはベストな人選だったと思う。『マイティ・ソー』がシェイクスピア的な宮廷陰謀劇の側面があったように、今作もロイヤル・シェイクスピア・カンパニー仕込みの荘厳かつ繊細な演出によって、エレガントでロマンチックなドラマが完成した。

絢爛豪華な衣装や美術もセンスが抜群で、見事に計算し尽くされた色彩感覚も圧倒的。金ピカなカボチャの馬車やガラス靴の深遠な輝きが眩しく圧巻。あそこまでディテールを詰め込めたのもシェイクスピア劇を得意とするケネス・ブラナーだからであり、おそらくアメリカの映画監督だったら全く違う世界観になっていたのではないかと夢想してしまう。

また、デジタル技術が進歩したこともハイクオリティなビジュアルを構築するうえで役立ったであろう。主にデジタル合成による色補正や、カリカチュアされたシンデレラのドレスやガラス靴の周りをキラキラ光るフレアなどが顕著。特に、本作のハイライトとも言える変身シーンは、汚れた服がドレスになるだけのことなのに息を飲むほど美しい。ネズミやトカゲが従者に変身するシーンもコミカルで面白いく、同時にバッドテイストな感じもあってかなり好き。子供が観たら泣きそうだけど。

舞踏会の場面のカメラワーク込みの優雅さも特筆すべきものがあったし、豪華な馬車でのチェイスシーンもスペクタクル感に溢れ、スリリングでぐっと引き込まれた。『エージェント・ライアン』であんなケレンのないアクションを撮っていたケネス・ブラナーだとは思えなかった。

音楽はケネス・ブラナーとずっと組んでいるパトリック・ドイルが担当しているが、変に現代アレンジせずスタンダードに美しいシンデレラの世界観を盛り上げていた。エンドロールで流れるソンナ・レレの「Strong」は、メロディも歌詞も作品と合っていて素晴らしいの一言。

オリジナルでは語られなかったシンデレラと両親、王子と王様の親子の強く美しい絆のストーリーもメッセージ性が強く印象深かった。

王子のルックスはイマイチだったけど、アメリカだとケツ顎がセクシーの証らしいのであれはあれで良いんじゃないか。