ディズニー総力を挙げての全方位隙無しの万人向け実写版。
みんなが知ってる「シンデレラ」のストーリーに大人っぽいドラマ要素を少し濃くした味付け。
子供時代から両親を亡くし、継母に育てられてコキ使われる不遇時代の描写は観ていて辛い。
しかし、亡き父を想う心、決して希望を棄てないシンデレラの心根の良さが、フェアリー・ゴッドマザーとの出会いで好転する物語は、何度観ても大泣き。
良いものは良い。大声で叫びたい。
永遠の定番だろうとなんだろうと、素晴らしい作品はいつでも心に響くのです。
なんといってもリリー・ジェームズのチャーミングなこと。
今でも充分に魅力的ですが、おそらくこの先もずっと続く彼女のキャリアの中でも最もシンデレラに相応しい年齢で撮影されたと思われるこの映画は、永久に記憶に残ることは間違いないと思います。
継母のケイト・ブランシェットも典型的なヴィランとしての枠に収まりながらも、シンデレラへの嫉妬や、あまり出来の良くない（と分かっている）娘達への精いっぱいの庇護をその悪行の動機として描く脚本の妙味も相まって完璧かつ魅力的な脇役を演じているのが素晴らしい。
国王や王子、大公に大佐といった男優陣が魅力的な女優陣に対してあまり際立った感じのしないところがこの作品のごく僅かなマイナス点かもしれません。
あたりまえ過ぎて敢えて書くことではないかもしれませんが、ディズニーらしくふんだんにCGを使い、それが作品の中で高品位な水準を保ちつつ見どころとなっている点もやはり完璧と言って良いところ。
何度観てもかぼちゃの馬車やアヒルの御者、トカゲの従者が変身し、12時を過ぎて元に戻るシーンの見事さは唸るばかり。
今回初めてTVで日本語版を観ましたが、高畑充希のシンデレラはイメージにぴったりで、吹き替えでなんの不満を感じませんでした。
一生のうちでも何度もないであろう危機的な状況のなかで、なんとも閉塞感のある生活を強いられているわけですが、こういう映画で癒される気持ちを大切にしたい、と思うのでした。
