菩薩

花咲くころの菩薩のレビュー・感想・評価

花咲くころ(2013年製作の映画)
4.0
語る言葉は少なかれど、伝わる思いは大きく強い。戦火の谷間、束の間の平穏、それでも人々の生活は脅かされ、大人達は不安を抱えて生き、子供達にもその恐怖が伝染している。14歳、二人の少女、エカにはナティアが、ナティアにはエカが、そこが二人の居場所であった。それでも二人は大人になる、いやさせられる。誘拐の末の結婚、あの男を愛しているのか?その目は嬉しく無いのか?嘘偽りのおめでとう、そして反抗のダンス、二人の居場所はそんな風に壊れてしまう。二転三転する銃の存在は、あたかも不安定な思春期の心情を象徴する様であり、やり場のない思いが、いつ弾丸となって発射されてもおかしく無い緊張感を生む。混迷を深める現代社会に、みずみずしく羽ばたこうとする二人の少女が投げかけるメッセージ、驟雨の中を駆け抜ける彼女達の美しさ、そんな美しさを、我ら大人が汚して良いものか。
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