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死んでもいいのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

死んでもいい(1992年製作の映画)
5.0
初夏の大月。突然の雨の中、気ままな旅を続けていた信(永瀬正敏)は名美(大竹しのぶ)に出会う。心魅かれるまま名美の働く地元の不動産屋を訪れた信は、社長の土屋英樹(室田日出男)にアパートを借りたい旨を突然申し出た。
名美に案内された古アパートで、信は名美が英樹の妻であることを知るが、すでに信の名美への気持ちは抗し難いまでにたかぶっていた。
結局信は英樹の下で働くことになる。あるドシャ降りの夕方、帰りの遅い信を名美が探しにいくと、信は思いつめた表情でモデルルームにいた。自分を押さえ切れない信はそこで名美を犯してしまう。
しかしその後、今度は名美が誘うように2人はベッドで肌を合わせた。そこに突然英樹の声が響いた。名美はベランダに身を隠し、最悪の事態だけは免れた。
翌日、英樹が出かけると、信は名美に「一緒になって出よう」と誘うが、名美は手をふりほどいて英樹を迎えた。
数日後の社員旅行の夜、酔い潰れた英樹が目を覚ますと名美の姿がなかった。大浴場で名美と信の姿を見つけた英樹は激怒、信をクビにしてしまう。
夏、工場で働く信のもとに名美が現れ、信はついに英樹を殺害することを切り出す。後日名美の手伝う布地屋を訪れた信は「次の雨の夜に殺害を決行する」と伝えたが、英樹に見つかり名美を連れ戻されてしまう。
次の雨の夜、信が本当にやってきたが、名美はドアを開けなかった。しかし、意図せずに翌晩ホテルに泊まることを教えてしまう。
新宿の高層ホテル、もう一度やりなおそうと告げる英樹をバスルームで信がスパナを手に待ち構えていた。泣き叫ぶ名美の前で、信は英樹を殺害した。
翌朝、めざめた名美は英樹のライターを手にする信に静かに微笑むのだった。
『人が人を愛することのどうしようもなさ』の石井隆監督が手掛けたラブストーリー。大竹しのぶ、永瀬正敏が共演。駅の改札口で永瀬正敏が大竹しのぶに一目惚れするシーンや永瀬正敏が大竹しのぶの旦那の殺害を決意するシーンなど石井隆独特な艶のあるカットが満載、徐々に永瀬正敏の荒々しいアプローチに流されるように禁断の関係に踏み入れながらも旦那の穏やかな愛情を捨て切れない日本人的な悪女・名美を演じる大竹しのぶの艶っぽさ、喘息持ちで名美の愛情を独占したいために狂気に走る信を演じる永瀬正敏、妻に裏切られながらも名美を愛する室田日出夫、しのつく雨やネオンや青いカーテンの海や海辺の宿や居酒屋が彩る艶めく映像美、黄昏のビギン、永瀬正敏がクローゼットに潜みながらのスリリングで血まみれの惨劇のラスト、色褪せない傑作フィルムノワール。
「私、あなたと会っていないと主人も愛せないの」「ふたりを愛しちゃいけないってことはないと思うの」
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