KozaiSzatosi

ブリスフリー・ユアーズのKozaiSzatosiのレビュー・感想・評価

ブリスフリー・ユアーズ(2002年製作の映画)
4.1
とにかく、これほどまでにダラダラダラダラした映画を、観たことがない。

やたら医者が出てくるのがこの人の映画だが、診察の場面のやたら詳細なこと。そして、同僚に対してフランクなこと。さすが、微笑みの国・タイである。

しかし、車で森の中に向かい、唐突にスタッフクレジットが現れたあたりから、いよいよこの映画は先行きが不透明になる。
美しい情景ではあるが、鬱蒼と茂る森はともすると得体が知れず、不安だ。そんな中にどんどんと入る二人はしかし、この上なく明るい。果たして何が起きるのか、という不安感は、この周囲と二人との齟齬によるものなのかもしれない。

だが、それでもこれは、アピチャッポンの中ではかなり解りやすい映画なのではないか。
唐突に現れるリアルな熟年カップルのセックスも、長々と映し出されるし、あまりにあっけらかんとしているため、果たしてこれは何なのか、と考えさせる余裕を与えてくれる。フランソワ・オゾンの映画のような、得体の知れない気まずさはあるが、結果的には彼らを包む森がそれを打ち消すかのように作用する。
アプローチこそ映画離れしていてビデオアートのようだが、実際、最後に残るのは、映画的なロマンスであり、切なさである。