なつ

我々のものではない世界のなつのレビュー・感想・評価

我々のものではない世界(2012年製作の映画)
3.8
1948年、イスラエル建国宣言を受け、第一次中東戦争が勃発。200以上の村が破壊され、70万人以上のパレスチナ人が家と故郷を失った。
パレスチナ人は周辺の外国に逃げ、避難先で難民としての生活を強いられる。
それから70年経っても帰還出来ず。
本作の監督は、レバノンのパレスチナ難民キャンプで育ち(後に家族で移住)、海外で暮らす。里帰り毎に、家族や友人をカメラに収めた貴重映像。
キャンプと言っても、長期間に及ぶ生活過程の中で、建物になっている。
とりわけ、レバノンでの難民生活が最も困難と言われている。
市民権なし、不動産所有は許されず、就労の制限と…。高い貧困率と失業にあえぐ。そんな生活が70年続く。
自由に海外を飛び回る監督と、生活の全てが制限されている友人との対比に皮肉を感じる。
“これが祖国での事なら、どんな逆境にも耐えてみせるが…。私達は難民、根なし草”と呟いた監督の友人…
“孫に誘われても移住しない。帰還権を放棄することになるから”と、年老いた姿で語る祖父が脳裏から離れない。
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