Rily

さいはてにて やさしい香りと待ちながらのRilyのレビュー・感想・評価

3.5
主観はいります。ファーストクラスの黒髪姿が私にどハマりだった佐々木希目的で借りた本作。こんないい女優さんになってたのか。そして偶然にもまたお会いできました宮沢賢治。

メインふたりの女性と女の子に共通しているのは(いまは)父がいない、夫がいないこと。生き方も価値観も違う女性が、たくましく生きていこうとする姿が描かれています。

永作博美演じる岬がひとり営む焙煎珈琲店「ヨダカ珈琲」。彼女の生き方とその由来である賢治の『よだかの星』。小さな頃読んだことあるような気がするんだよなぁ。なので、大人になって再読…。
…賢治の精神がわかりやすく描かれていました。
本作でも、色濃く出ていたのは、岬が当時4歳のとき両親が離婚した話をする際「私は母を選び、父を捨てた」と言っていたこと。“捨てた”。あくまで4歳のときだ。
数少ない自分のこと、贖罪の念にかられている言葉だった。

スローな空気とは反対に展開の早さ、それは別として、印象的なのは、自然な暗さ、引いた画、後ろ姿の感情。とあるシーンでの皆の“青”の服装は、よだかの星のラストの「青白く燃え上がる〜今でも夜空で燃える存在になる」になぞらえてるのかな?(考えすぎか…)

…命の重さ。そして自分を受け入れること。

…“生きていく覚悟”

佐々木希は前半と後半ではまるで別人のよう(外見だけでなく、中身も)こんなに人って変わるもの?さらに好感度を上げてくれました。

さて、私も珈琲を飲み、ゆったりと気持ちを落ち着かせる時間を。
Rily

Rily