秋日和

真昼の不思議な物体の秋日和のネタバレレビュー・内容・結末

真昼の不思議な物体(2000年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

走る車の窓ガラス越しにモノクロームの街を映し出して始まる本作は、虚と実を行き来する「不思議な」ドキュメンタリー。アピチャッポンの映画を観るのはこれが二本目なので特徴がどうの、というのはよく分からないのだけれど、最初はややキアロスタミっぽいかな?と思いながら観ていた。
「足の不自由な少年とその家庭教師」という話をアピチャッポンが最初に提示し、その話の続きを様々な素人に即興で作ってもらい、その様子をカメラに収める、という斬新(!)な手法で映画は展開していく。作り話=嘘を羅列していく作品と(少し乱暴な物言いだけれど)言ってもいいかもしれない。ある素人が考えた話を別の素人がその話の続きを考える、というように、リレー形式で物語は紡がれていく。虚/実が交錯する本作はドキュメンタリーのつく嘘を巧みに暴いてみせるどころか、「そもそも映画って何だっけ?」という根本の問いかけすらしているような気がした(その証拠に<real>或いは<fake>という単語が時折台詞の中に紛れ込んでいる)。映画=作り物という意識を本作の至る所で感じ取ることが出来る。
また、ロケ地に選んだ場所もなかなか面白く、しばしばアピチャッポンは劇中の人々とその背後に設置されている「窓」を同時にカメラに収めてみせるのだけど(冒頭に書いたように、そもそも映画自体「窓」を通して始まる)、それは部屋の「窓」から外=世界を見つめていた「足の不自由な少年」と関係づけて考えるべきアピチャッポンの演出だろうか?窓=フレーム。ここでも「そもそも映画って何だっけ?」意識がチラリと見えたり見えなかったり。

……以上が「見たままそのままを感じればいいのではないか」の訓えに従った自分なりの感想だけど、本当のところはどういう意図だったのか、実はちょっと監督に聞いてみたい。