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真昼の不思議な物体の10000lyfhのレビュー・感想・評価

真昼の不思議な物体(2000年製作の映画)
4.0
タイの地方で、ある中年女性行商人が即興で話し始めた、脚の悪い少年と女性家庭教師、彼女のスカートの中から転がりでた物体の物語が、旅芸人一座、映画撮影クルー、手話で語る少女 2人組などにリレーされ展開。そのコアストーリーが、アピチャッポン自身のルーツ探しの旅と思われる外枠の中で語られ、同時に、ストーリーテリングや映画製作を模索する過程のドキュメンタリーとも言いうる、ハイブリッドテーマ作品。混沌としたストーリーや表現から、若い映画監督の格闘が、むき出しに伝わってくるのが魅力。モノクロの荒い質感の映像によるロードムーヴィ感はヴェンダース「さすらい」を想起させ、直感的で捉えにくいメタ構造はリンチに通じる(計算されつくしたリンチ作品に対し、本作は即興的だが)。冒頭の、行商トラック運転手目線の長回しと、コアストーリー最後の第二次大戦終結期のラジオ放送が印象的。ラストの、海辺の少年サッカーから、犬と遊ぶ子供たちへの流れは、さすがに無関係なもの詰めこみ過ぎちゃったかな
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