真昼の不思議な物体の作品情報・感想・評価 - 7ページ目

真昼の不思議な物体2000年製作の映画)

Mysterious Object at Noon

上映日:2016年01月09日

製作国:

上映時間:83分

3.9

あらすじ

「真昼の不思議な物体」に投稿された感想・評価

過去と現在、死と生のような観念的な主題におけるそれでなく、あくまで映画における「語り」の境目を曖昧にしていくところが面白い。
いい話風になろうとしているのに登場人物を皆殺しにして強引に終わらせようとする子どもたちに爆笑した。
TOT

TOTの感想・評価

3.9
身の上話に詰まった女性に言う「何か話をして、嘘でもいいから」から始まり、ひとつのプロットを人から人へ語り繋ぐ創作リレー。
創作の合間にドキュメンタリーを挟み、虚構と現実が次第に飽和してきたところで、子供達の鮮やかな発想と嬌声でドカンと決壊するラスト。
キアロスタミの影響を感じつつ、筋もなく即興演技でもなく、物語の行く末を対象の語りに委ねてしまう豪気。
写美で観た2001年の短編、ひとつの物語・配役を様々な人が演じ継ぐ「幽霊の出る家」と対になる作品とも思った。
右でも左でもないことの自由は不安だけど、フワフワと面白い。でも怖い。
あと、劇中に若アピチャッポンが写りこむ。
かわいかったアピチャッポン。
今より少し髪の毛長いアピチャッポンかわいかった。
とってもワクワクしてドキドキして、次に自分の順番が回ってくるってゆうなにかの発表会みたいに。
わたしはねーえっと、みたいな。

監督が選ぶ人たちが、とてもあったかくて、すてき。

でもやっぱり、こどもが1番不思議でそして残酷でおかしい。
むかし、男の子が、蟻を踏み潰していた光景が浮かんできた。必要な儀式みたいに。

想像力は、宝物。
愛しい、いとおしい。
アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ2016 アンコール!にて。

アピ監督の長編デビュー作にして、世界が彼の才能を発見するきっかけになった作品。こんなもの観せられたらそりゃ熱狂するわ、ってくらいの傑作です。

行商の女性へのインタビューからはじまる本作は、「作り話でもいいからもっと話して」と促された彼女が即興で語る物語に、いろんな人たちがリレー形式で続きを継ぎ足していくというもの。タイの各地を巡りながら口承される物語は、二転三転し思わぬ方へと転がってゆく。

車椅子の少年を教える家庭教師の女性が突然倒れ、少年が助け起こそうとしたその時、彼女のスカートの中から不思議な物体が転げ落ちる。これが最初のプロット。
この物体はもうひとりの少年や、別の家庭教師や、鬼のような化け物に姿を変えていく。物語もメロドラマやSFやファンタジーに変化し続ける。

そしてこの物語は同時に映像化され、物語を語るドキュメンタリーパートとそれを演じるフィクションパートの二重構造をとるようになる。
しかし語る者が演じたり、演技がドキュメンタリーパートを侵食しはじめることで、境界が曖昧になり次第にカオスと化していく。

こういうのどこかで観た気がすると思ったら、アッバス・キアロスタミですね。『クローズ・アップ』『桜桃の味』のような不思議作品と共通するものがある。
アピ監督、キアロスタミのファンだったんだなぁ。彼の作る映画の自由さの理由がよくわかりました。

モノクロで描かれるタイの風俗や景色も大変に美味。そしてこの混沌こそがタイという国の豊かさなのだなぁとも。
ssk

sskの感想・評価

4.4
タイのマルチアーティスト、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督長編第一作。
タイに生きる知らない誰かにストーリーを創造してもらうという新感覚のドキュメンタリー。
ある意味フィクション性を含有しつつ、その想像力をカメラの映す人々に託す。これは映画のフィクションとしての可能性を大きく開いているものであり、自身のキアロスタミからの影響を語っていた彼らしい映画だったと思う。これを長編として最初に撮ってしまうのだから、凄いものだ。
改めて考えてみると、これは山形国際ドキュメンタリー映画祭に出品されたれっきとした記録映画なのである。そうした側面を鑑みると、外から簡単には映すことのできない対象となる人々の想像力、内面の豊かさを捉えた稀有なドキュメンタリーなのではないかと思った。これだけの短い時間でタイの生活風景や人々の考えが知られたのはかつてない体験だったはずなのだ。
アピチャッポン・ウィーラセタクンの処女長編。
白黒の映像の中、魚売りの女性に「何か話をして、嘘でもいいから」と監督が語りかける。その女性が作ったストーリーの続きを別の素人に語らせ、またその続きを別の人間に考えさせる。物語の生成を即興的に撮った映画だけど、事前に解説を読まなかったら意図を理解するまでに苦労した。
キアロスタミの『桜桃の味』から影響を受けたことが随所で伝わってくる。パルムドール受賞の巨匠も元はただの映画好き、という当たり前のことがわかって思わず微笑む。
脚本のない、赤の他人が創作した話。それなのに、不具の人が出てきたりオカルト性が強かったりと、後のアピチャッポン作品と共通する特徴があっておもしろい。

飲み込めない部分も多かったので、そのうち再見したいです。
アピチャッポンの長編はこれだけ未見でしたが、ようやく観ることが出来ました。
これは普通のドキュメンタリーではないです。
素人にストーリーを造ってもらって、それをまた素人俳優に即興的に演じてもらうという趣向。
その話というのは、実際にあったその人の体験だったり、民話風の話しだったり、全くの創作、妄想みたいなものもあって面白い。
そう、アピチャッポンを理解するには、解る、分からないではなくて、観る側が「面白い」と感じられるかどうか、でいいのでは。
もちろん私は大変面白いと思っていますが。
日本語字幕が見辛かったので、少し着色してもらうと有り難い。

写真美術館でアピチャッポン展をやっています。
こちらも行ってみようかな。
骨兄

骨兄の感想・評価

3.6
白昼夢みたいに不思議な物体が二転三転と境界を曖昧にしながら変容していく。こらぁタイのヌーヴェルヴァーグや
初めて見たときはガン寝したので見直した。面白すぎる。
映画的にも良い出来らしいけど、そういうのはわからないので他の人のレビューに任せます。
架空の話が人から人へとバトンタッチで創作されていく形式で、
伏線も何もなく展開されていく小気味良さと話し手の話しぶりが良い。
メインの話が終わる感じも、雑なんだけど中々味わい深い。
ちょこちょこ魚醤(ナンプラー)の売り文句が出てくるけど、そんな感じでなんか味のある映画だった。
Arisa

Arisaの感想・評価

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”もっと話を聞かせて、作り話でも良いから...”

街の人々、それぞれが話す神話や記憶。

人々が実際に体を使い、創造の世界を見せる。
話しているシーンを見せ、想像させる。
”話す人”がリアルなはずなのに、話される”世界”のほうをリアルだと感じる。

荒々しい白黒の映像と街の音、人々の声、時間の流れ。
どうしてか、観ている間ずっとドキドキとしていた。