ロマンポルノであり、かなり人を選ぶタイトルながら、その年のキネマ旬報、邦画ランキングでベストテンに食い込んだほどの名作。
在郷でくすぶってるガキ三人と元ヤクザが親子以上の関係を持ち、このまま生きてても何もないじゃないかという絶望からふんばって生きようと決意した矢先、ボタンの掛け違いでもって奈落の底に突き落とされるノワール。
前半、ホントに何もない日常生活が淡々と超リアルに描写されていくが、伏線がきっちり張られていて、実は始まった瞬間からすでに破綻する運命だったことがわかる。都会には都会の狂気が蔓延していると思うが、その一方で在郷には在郷なりの狂気があるんだということを改めて思い知らされた。誰しもがこの映画の誰かになってしまう可能性があるということなのである。
「許す」という選択をしたことにより煉獄に突き落とされた室田日出男と結局何もかわらずに生活が続いていくある男の姿が対照的。「『ヒーローショー』っぽい映画だと言ってた人がいたが、そうかぁ?」とツイートをしてた人がいたが、テーマ的には一緒だと思う。映像も相まって美しくもあり、残酷でもあり、怖い。ぼくはノワールと見たが、青春映画でもあり、純愛映画でもあるところもすごい。