リリアーナ・カヴァーニ監督作。
イタリア映画。
57年ウィーン。身元を隠しホテルの夜番のフロント係として働く元ナチス親衛隊員のマックスの目前に、かつて弄んだユダヤ少女ルチアが今や高名な指揮者の妻となって現われ…。
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ナチスとユダヤの加害者被害者関係が性的共依存を生み出し、逆転現象を引き起こす。それがモラルに反していて背徳的だとか言われ変態映画に並べられている当作。でも、マックスとルチアの関係性って【ストックホルム症候群】だと考えれば案外ベタなのかも。
確かに『美女と野獣』や『バッファロー66』あたりのストックホルム症候群を扱った恋愛映画と比べてもヴィジュアル含めて性的倒錯に寄ってるから普通じゃなく見えるかもしれないが、自分はこの関係性を異常だと切り捨てて否定したくないと思った。
ただ、今作一番のウリとも言うべきデカダンス描写が案外21世紀に見るとさしてエロくもない。ナチスの帽子をかぶって上裸で踊るシャーロット・ランプリングのヴィジュアルも画になってカッコいいけど、それももっとエロいものを期待したがさしてエロいと思わなかった。