kohei

冬冬の夏休みのkoheiのレビュー・感想・評価

冬冬の夏休み(1984年製作の映画)
4.7
揺蕩う時のなかで川で友と遊んだり見知らぬ恩人に身体を預けたりしたこと、そのにおいとかを忘れたくないなと思った。最近は『はちどり』や『夏時間』『わたしたち』のような(少女にフォーカスした)映画に心を惹かれながらも(今までの映画に投影できなかった自分の一側面に気づかされるのだと思う)、是枝とか、遡ると小津とか清水宏とか、「少年」を描く映画もそれはそれでやっぱりいいよなと思う。『ミナリ』における、家庭内での少女(あるいは女性)の透明化に気持ち悪さを感じた自分だったから、この『冬冬の夏休み』の両性具有的作劇にとても満足した。『ミナリ』と同じくこの映画も妹が“いない”ことが多いけれど、それ自体が物語を駆動させるひとつのきっかけになってるというか。そこにホウ・シャオシェン=冬冬の等身大な態度が見える。ティンティンと寒子の交流がとてもよい。不思議な巡り合わせで人間の顛末が変わりゆくさまも、人生だなという気分がある。
kohei

kohei