Aix

冬冬の夏休みのAixのレビュー・感想・評価

冬冬の夏休み(1984年製作の映画)
3.8
恋恋風塵や悲情城市などで知られるホウシャオシェンの半自伝映画。母親が入院している兄妹が夏休みに田舎の祖父の家に行く話。

どこか宮崎駿のトトロを彷彿とさせるような暖かい映画でした。台湾の美しい田舎の風景と子供たちの夏休みの日常を切り取った物語で、普遍的だけど誰しもが感情移入出来る作りになっています。特に我々日本人はノスタルジーに浸れるだろうし、夏休みに祖父母の家に行くっていう設定にも好感を持てるはずです。ストーリー的には序盤こそ子供たちの遊び回る場面を眺めているだけですが、寒子が妹を助けたあたりから大人たちのエピソードが盛り込まれ、作品が全体が持ち上がった印象があります。でも何よりも今作に貢献したのは子役たちの自然な演技です。凄くリアルだったし、本当の子供たちの夏休みを見ているような感覚になりました。そういう意味では今作はビクトルエリセのミツバチのささやきや、アッバスキアロスタミの友だちのうちはどこ?にかなり近かった気がしますが、アジア映画なだけあって前述した2作よりも今作の方が日本人向けな作品だと思います。

今の時期にぴったりな、老若男女問わず様々な人に見てもらいたい映画です。夏に鑑賞出来て良かった!!
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