おちち

冬冬の夏休みのおちちのレビュー・感想・評価

冬冬の夏休み(1984年製作の映画)
4.0
子供の目線で日々の出来事を描くという意味では、キアロスタミの「友達のうちはどこ」にも通ずるが、こちらの方が好み。

印象的なのはやはり子供の世界の単純さ。
冬冬は医者の孫で、周囲の子供とは違う階層にいるはずだが、子供の世界ではそうした身分差は無化される(大人の世界で、町医者として祖父が敬われている様子が描かれていたのとは対照的)。
冒頭の亀も印象的。この亀は子供時代の時の流れの速さと対比されるべき象徴だろう。
侯孝賢の映画でおなじみの電車のシーンも良い。発展途上の国にあって、電車とは常に発展の後ろにある存在を想起させる象徴ではなかろうか。

本当に80年代の侯孝賢は本当にハズレがない。
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