つるみん

冬冬の夏休みのつるみんのレビュー・感想・評価

冬冬の夏休み(1984年製作の映画)
3.8
映画の中の〝子供〟を最大限に活かせる監督は他にも居るが、青年時代、少年時代や幼少時代と変化が著しい〝子供〟を使い分けれる監督は侯孝賢しかいない。

冬冬という男の子の夏休みを描いた一作で、そこには日常的な事柄がズラリと並んでいるのだが、時折非日常的な部分も散りばめられている。だからこそ『となりのトトロ』に通ずるところもあり、子供の時に見ていた、感じていた、聴こえていた(大人にはもう分からない)モノや感情がそこには描かれていて、ノスタルジーを感じる。
だから冬冬のような夏休みの体験をしなくとも誰にでも当てはまる要素がそこには散りばめられているので世界の大人たちが共感できるのだろう。
まるで侯孝賢が自分が子供だった頃の夏休みをどこかで観察していたのか!?と思ってしまうほど、映画の中の体験はしていないのにも関わらず、冬冬の感情と行動が自分の少年時代とリンクする。ある意味、不思議な体験をさせてくれる一本。
つるみん

つるみん