きぬきぬ

キングス・オブ・サマーのきぬきぬのレビュー・感想・評価

キングス・オブ・サマー(2013年製作の映画)
4.4
これはもう最初のカットから素敵で最愛なる作品!
二人の少年が森の中のパイプを太鼓みたいに叩いて、
一人の少年がその音楽で原始的に踊ってるんだよー!
なんて魅力的!愛さずにいられようかっ!

思春期の高校生男子3人、15歳くらい、反抗期というよりも親に干渉されずにもっと自由になりたい衝動!でも親からはまだまだ子ども扱いされてしまう。
親の言葉が異星人の言葉のようで理解不能に思えるとか、親との会話が無くなるとか、親と居ることがストレスにまでなってきた親友二人が森の中に秘密の家を建て、自由に自然に寄り添う生活をする為に家出!
その二人ジョーとパトリックに加わるビアジオくん最高!この三人の少年たちが本当に良いのだ!
行動力があって我の強いちょっとハンサムなジョー、柔和なパトリック、知らぬ間にいつも何故かそこにいる小柄なビアジオ、愉しく輝いている彼らの時間が本当に愛おしい!
でも男の子たちの友情に女が入ると悪い方へ向かうよね。ジョーが恋する女子を招き入れてしまったことで彼らの幸福な時間は崩れてしまう。
仲違いしても固い絆で秘密を守る友情と違い、そんな絆の無い女の子はお節介でお喋りだなあ。
これは秘密の隠れ家を教えてしまったジョーが悪いのだけど、まあそのおかげでジョーは本当の意味で逞しくなって、ひとつ大人に近づいたと思う。

親と子どもたちの心の距離も、大人たち同士の関係も通じない行違う会話で示される。それがまたユニークでコミカルで巧い!
少年たち三人も通じ合っているようですれ違うところもバランスを取っている。それは元々は他人だけどお互いを大切に思う友情ってやつからだと思う。ラストシ-ンまでグッと来るんだ。

だから子どもたちのひと夏の冒険は、親と子どもの関係と繋がりを見つめ直すのに良かったのかも。

少年たち含め役者が皆良くて、コメディリリーフのビアジオくんなんてもう最高におかしい!
音楽もとても良い!映像表現もとても素晴らしいし、テンポも快適で、なんでこんな良作が劇場未公開なんだかわからないくらいに、この作品は素敵!
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