ICHI

公共の敵2 あらたなる闘いのICHIのレビュー・感想・評価

公共の敵2 あらたなる闘い(2005年製作の映画)
4.0

不思議なのがタイトル横の数字と制作年。

なんだかこの「2」が、一番最初の「公共の敵」感があり、本来一番最初にできた2002年の『公共の敵』は、この「2」の後のように思える。

この作品の最後に登場した「ただの悪い奴」がよ~く観れば「のち(2002年の公共の敵と、2008年の公共の敵1-1)」に活躍する果物成金野郎サンスと刃物野郎ユ・ヘジンだし..

これら3作品の中では一番シリアスで朴訥で、なんせ出演者が若く見える。部長もだしソル・ギョングも。逆にユ・ヘジンは2008年の1-1より年取って見えるのが不思議笑。

映像の感じが、とにかく一番3作品の中で古い画質に見える。

時系列が不思議だ。


作品の感想としては、長い。長いゆえに一回寝落ちしてしまった。だが、やっぱり見返すと骨がある。3作品の中では2002年の派手めな『公共の敵』、2008年の軽めな『公共の敵1-1』より地味なテイストではあるものの、ハードボイルドで煮えたぎる怒りが持ち味になっている。


『ペパーミント・キャンディー』や、『悪の偶像』『あいつの声』などでもそうだが、ソル・ギョングを泣かせたら右に出る者はいないのではと思わせられる何かがある。

俳優は顔が命、みたいな部分はあるが、彼は最初『監視者たち』ハヤブサ役と『ザ・スパイ・シークレット・ライズ』の抜け作な夫役で観た時は、同一人物だと気付くまでに時間がかかった、特段インパクトがある顔でもない。

ユ・ヘジンやチャン・ドンゴンと違い、「一度観たら忘れないキャラクター」の真逆を行く、何度か観ないと覚えない顔をしている。

それだけ役に染まれる、染まりやすいカメレオンのようなキャラクターだ。

だからこそ、各作品ごとに流れる「ソル・ギョング」の涙が、こんなに印象的で一番「ソル・ギョングらしい」のがまた不思議で。

わたしの中ではソル・ギョング=空を仰いでの涙、という鉄板イメージがついている。

これは、色んな監督色んな作品に出て色んなキャラクターを演じる役者に於いては、珍しく、特筆に値するのではと思う。
ICHI

ICHI