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名探偵ゴッド・アイのnetfilmsのレビュー・感想・評価

名探偵ゴッド・アイ(2013年製作の映画)
3.8
 謎の連続女性失踪事件が人々を震撼させている香港。元刑事の探偵・ジョンストン(アンディ・ラウ)は、天才的な直感を持ちながらある事件で視力を失い、その後は警察に協力することで生計を立てている。ある日、そんな彼に憧れる女刑事(サミー・チェン)が、子供の頃に行方不明になった少女を捜し出してほしいと依頼。ジョンストンは彼女をアシスタントとして捜査を開始するが、自己中心的なジョンストンと奇想天外な調査に女刑事は振り回され、身も心もボロボロになっていく。だがやがて、少女の失踪が連続女性失踪事件と繋がり、事件は思わぬ方向へと転がり始める。ここでは『MAD探偵 7人の容疑者』のように、目が見えない状態ながら、心の目で犯人の心理をプロファイリングしていく神業を持つ元刑事の探偵を主人公に据えている。物語はシンプルで、ジョンストンと女刑事の他に、刑事時代の同僚だったシトと、彼が密かに想いを寄せる丁丁くらいしか出て来ない。

 その中でアンディ・ラウとサミー・チェンの夫婦のような掛け合いのうまさはさすがに共演回数を重ねてきただけの凄みがある。出会いの場面で、ついついお酒を呑み過ぎたアンディを、サミーが仕方なく部屋に泊めるが、朝方尿意をもよおしたアンディが、入浴中のサミーの風呂場に押しかけるドタバタ劇は、2人の呼吸がぴったりでないと出来ない芸当である。彼が目が見えないことを疑い、彼の目の前でモノをちらつかせてみたり、彼の目がまったく見えないことを知っても、休日に2人で会う時は、黒のドレスで精一杯オシャレしたり、サミー・チェンの等身大の可愛さは今作でも健在である。今作においてもやはり恋敵は突然現れる。せっかくおめかしして2人で初めて出かける時に、デリカシーのないアンディはサミーを好きな人のいる社交ダンス教室へと誘う。アンディの意中の人が自分ではなく、丁丁だと知った時のサミーの落ち込みっぷりがまた可愛い。アンディもアンディでそのまま恋を押し進めるかに見えたが、とんでもない事実を知り、意気消沈する。

行方不明になった少女を捜す中で、少女連続殺人事件の深い闇に気付いた2人は、まずラム・シューを取り調べ、その後、10人以上の少女を殺したサイコ・キラーに突き当たる。『強奪のトライアングル』での奇天烈なレザーフェイスぶりを知っているだけに、この2人の役柄は交代したほうが良かったかもしれないが、恋の行方を描くコミカルな物語の中で、ふいに挿入される冷ややかな猟奇ミステリーはあまりにも歯切れが悪い。だが視力を失ったアンディが車を運転する場面は、心底あり得ない強烈なインパクトを放つ。最初はサミー・チェンの片思いだった恋が、いつしかアンディ・ラウの心を打ち、彼女のことが少しずつ好きになっていくというジョニー・トーの恋愛映画の鉄板の名場面である。