じゅんふう

STAND BY ME ドラえもんのじゅんふうのネタバレレビュー・内容・結末

STAND BY ME ドラえもん(2014年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

特別ドラえもんのファンというわけではないが人並みに触れてきた程度の好意を持って鑑賞しました。
期待せずに見てたら、あれ?案外面白いぞ!?と驚いたんですが、そりゃ面白いはずです。だって原作がすごい面白いんですから。

自分の心がスレてしまったのか単にこの映画の作りが悪いだけなのか、まったくドラ泣きできないどころか、不快感で満たされる箇所の方が多く、90分をドブに捨てる結果になってしまい、そこにドラ泣きしてしまった。

原作の感動できるエピソードを盛り込んで繋げればそりゃドラ泣きなるでしょ、と思いがちですが、さようならドラえもんも、結婚前夜もオムニバス(話が一回一回完結する)だから感動できるんですが、ドラえもん登場からさようならまで地続きでされても詰め込みすぎて感情移入できない。
中途半端にリアル造形のビジュアルにしてしまったために、原作やアニメでは笑い流せていたジャイアンの暴君具合やスネ夫の意地悪さやのび太のダメさ加減のコミカルさがなくなり、強調されてしまってなんか胸焼けを感じた。キャラクターに愛らしさを感じない。
それに、ドラえもんの友情以外はひたすらしずかちゃんに好かれたいと話が続いていくのですが、しずかちゃん登場から結婚前夜までのスパンが短くて、一体のび太のどこに惚れたんだろうか?という疑問しか湧かない作り。結婚前夜で「私やっぱり結婚やめる!」と言ったとき、そりゃそうでしょ、となってしまった。
雪山のロマンスは初めてだったから楽しめたものの、原作の印象的エピソードを凝縮して無理やりつなぎ合わせたせいか、ダイジェスト風にすぎてしまったのでのび太がなぜしずかちゃんに好かれるのか、よくわからないまま。
ただ、ムシスカンの話も初めて見て、しずかちゃんの魅力は十二分に伝わる。自分のダメさ加減に嫌気がさして自分と将来一緒にいたらしずかちゃんが不幸になるからと、しずかちゃんに嫌われそうな行動したり、ムシスカンをオーバードーズしたりと割とメンタルがヘラリズムしたのび太の出す負のオーラに逆行し駆け寄り、「吐いちゃえば楽になるから」とか、心配しながら怒り泣くところとか聖人君子と思えるメンカノ(メンタル弱めな男を温かく受け入れる彼女)っぷりで、メンタル弱めの人間から見た理想的聖母的ファムファタル的女性像でこれだけで5点満点あげたいくらいのときめきポイント。
「私がついていてあげないと、危なっかしくて見ていられないから」とかのセリフも良い。メンタル弱め人間が夢にまで見る理想のセリフをさらりと言われて心奪われないわけない。5億点。相変わらず映画の見る点評価する点がずれてるかもしれませんがそれだけで高評価しちゃいます。
ただ、それ、ほぼ原作にある箇所の引用なんですよね。スタンドバイミードラえもんとしての良さというわけではない。そもそもスタンドバイミーってなんだよ。英題つける悪い癖、やめませんか?


あとは褒めの部分としては、絞り出すのであれば、
全体的に不評な成し遂げプログラムですが、最初見たときの不快感ヤバすぎて気絶するかと思ったんですが、通して見ると原作のエピソード凝縮して2時間弱にまとめるためにはいい改変だな、と思えてきました。
それぞれ独立であった話をうまいこと繋ぎ出会いから別れまでの物語を通し、一貫性持たせるのであればいい改変だとは思います。
この要素があったからこそ、出会いから別れまでの短い時間での話のまとまりがあり映画的にはわかりやすくて良い。

ただ、そんないろいろと加点要素見つけたとしても最後の最後の最後での演出がどうにも気にいらなくてマイナス一億点。秦基博のひまわりの約束に合わせてNG集が流れるのですが、え、NG集…?CGで中途半端にリアリティに近づけていた分、今までドラ泣きしていた話の茶番感が増すというか、急にフィクションみというか、作り手側の人物感がパッと浮かんで見えてしまい、感動的な秦基博さんの歌声がなければスッと現実に戻される感じがして一気にしょうもなさが押し寄せてくる。このエンディングだけで2度目の鑑賞は2度とないかな、と思えてしまう。テレビで秦基博さんがひまわりの約束を歌うたびにかわいそうに、と思えてしまう。早く秦基博さんをひまわりの約束の呪いから解いてほしい。キミ、メグル、ボクとかたまには歌ってほしい。いや、その曲しか知らないんだけどさ。


NG集といいCGの動かし方といい全体的にピクサーを目指してたのかどうかわからないけれど、もし目指していたのであればドラえもんの力を借りず完全オリジナルで挑んで欲しかった。質感はともかく、CGの技術はすごいし。表情気持ち悪いのはともかく。監督デビュー作であるジュブナイルをリメイクすれば良くない!?

とにかく、この映画を安易な気持ちで見て貴重な時間を無駄にしてしまった自分に向けて反省のドラ泣き、そしてそのレビューにこんなにもかけてしまった自分に向けて後悔のドラ泣き、させていただきました。
とはいえ原作に興味は持つきっかけになったのでそこは感謝。感謝ということで+1点。ムシスカンと雪山のロマンス、読んでみようっと。
じゅんふう

じゅんふう